九人目の子

小学生のとき、同級生たちと裏山を散策したことがある。

自由時間だか何かで、他の子たちは校庭の遊具で遊んでいたのだが、私は飽きてしまった子たちと一緒に学校の裏山に行ってみようということになったのだ。

日頃は入ることを禁じられていたため、先生たちの目がないそのときが絶好の機会だった。

男女合わせてわちゃわちゃと山に入っていき、ふざけながら歩いた。

途中、誰かが点呼を取っておこうと言い出した。

前から順に一、二、三…と言っていくやつだ。

先頭から言っていって、最後尾は九と言った。

その後、迷いながらも何とか山を出ることができ、小学校から二十分ほど離れたところに出てしまい、みんなで焦った。

早くしないと先生に見つかると、来た道を戻るのではなく平地の道を走って学校へ戻った。

ところが、学校にたどり着き昇降口で靴を履き替えるときにみんな気づいたのだ。

そこには八人しかいなかったことを。

顔を見合わせても、そこに誰がいないのかわからなかった。

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