襖が汚れた家

小学生の頃。

自分の住んでいる地域を探検してみようという校外学習があった。

先生の付き添いはなく、各々好きに班に分かれて歩き回る感じのものだった。

「俺、オバケ屋敷知ってるよ」

ひとりの男子がそう言ったことで、そこへ行くことになった。

その男子の案内で着いたのは、大きいが寂れた家だった。

塀越しに家の中を覗くと、ボロボロの襖が見えた。

目を凝らすと、赤茶色の飛沫で汚れているのもわかる。

オバケはいないが血飛沫で汚れた家。

怖くなった私たちは静かにそこから逃げ出した。

何より怖かったのは、その後大人に聞いても誰もその家のことを知らないと言い張ることだった。

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