第2話 こいつらは何も知らない
あたりにいる連中は、みな固まったように動きを止めた。
国王は、驚きすぎて声も出ないようだった。
だが、俺に言わせればそれは自業自得と言うしかない。
召喚された俺は、周りを異世界の人間、おそらくは貴族や国の偉い連中に囲まれていた。
「召喚は成功いたしました」
俺の前に立っていた男がそう言った。
なんというか、怪しい身なりの男だった。
黒いゾロリとした全身マントを纏って、先のとがった広いふちの帽子をかぶった漫画に出て来る魔術師そのものである。
しかも目つきも顔色も悪い。
「よくやったサリエリ。約束通り褒美をとらす」
「ありがたき幸せ、国王陛下に置かれましては、これで大陸統一の目標に一歩近づけたわけですな」
はっはっはと国王らしき男は笑い、俺を見た。
「よくぞ参った勇者よ。これから貴殿には王国のために尽力を願うことになる。よろしく頼むぞ」
俺がここに来るまでにあったことを、こいつらは何も知らない。
まず俺を召喚した魔術師を見て言った。
「まずはお前から始末するとするか」
〈
右手に現れた剣の柄を掴み、俺は魔術師に向かって一振りした。
魔術師は何かを言おうとしたが、その間もなく首が転げ落ちた。
「何をする!」
皇帝はそう叫んだ。
俺は剣を国王に向けて怒鳴った。
「いったい誰の許しを得て俺を召喚した!」
「そ、それは」
「神の許しなく、外法を用いる者には死を。またそれを命じた者にも死あるのみ」
俺がそう言うな否や、皇帝は叫んだ。
「この者を捕えよ!」
国王は面白いほど取り乱し、玉座から転げ落ちるように逃げようとしたのでガウンを剣でひっかけて倒すと、俺はやじ馬たちに向かって高笑いしながらつぶやいた。
〈
俺は国王の襟をつかんで、そこに座っていろよと、もう一度玉座に座らせた。
そしてさっきあの魔術師にやると言った褒美はどこだ、と聞くと皇帝は脇で固まっている衛兵に目を泳がせた。
衛兵を見ると、綺麗な刺繍の入った袋を持っている。
俺は術を解いて衛兵の手からそれをとって、中を見た。
金貨らしきものがぎっしり入っていた。
「神に無断で召喚した罰としてもらっておく、いいな」
国王は無言で何度も頷いた。
俺はそれを
「お前をここで殺してもいいが、どうする」
「そ、それは止めてくれ。なんでもする」
俺は王の玉座の脇に行くと、目の前で固まっている間抜けな連中と、転がっている首無し魔術師を指さして言った。
「また、神に無断で召喚をやるか」
国王はぶんぶん音が鳴るかというくらい首を振った。
「やらぬ。もう二度とやらぬ」
「わかればいいんだ、しかし、お前にも罰は必要だ」
そう言われて怯えたような目を向けた国王に俺は囁いた。
〈
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