オーバーキラー~悪い奴らは皆殺し!外法で召喚された俺は異世界で悪党どもを蹂躙する。王国編

一ノ瀬 薫

第1話 止められた召喚

 いつも通りの通勤の帰り、疲れた体を引きずりながら、コンビニで弁当を買ってマンションまでの道を歩いていた。

 突然、目の前が歪んだと思うと、奈落の底に落ちる感覚に襲われた。

 そして次の瞬間には、俺は誰かに腕を掴まれて引き上げられ、気が付くと事務所の一室のような所で折り畳み椅子に座っていた。

「気が付きましたか」

 目に前は、眼鏡をかけたダークスーツの男が立っていた。

 俺は辺りを見回した。

 もしかしたら、宇宙人にでも攫われたのかと男をまじまじと見た。


「私は宇宙人ではありませんよ。神の使いのようなものです。あなたのいた世界では天使と呼ばれていましたが、アルファとでも呼んでもください」

 悪い夢を見ている気がする。

「夢でもありません。あなたにとって良いか悪いかわかりませんが、あなたは違法に召喚されて、それを一時的に停止させています」

 何がなんだかわからない。

「ここはどこですか」

 ようやくそれだけ聞くことができた。

「異世界に行く途中の避難所のようなものです」

「避難所?」

 アルファは頷いて、俺に語り始めた。


 アルファの説明では、何者かが俺を神に無断で召喚し、それに気づいた神の命令で俺を助けたというのである。

「そもそも召喚というのは、同意なく行われるものではなく、神によって選択が提示されて後、異世界に送られるものなのです」

「選べるのですね」

 当然です、とアルファは俺を見た。

「いきなりなんの意思表示も出来ずに召喚されては、世界の秩序など維持できません。それに非常識でしょう」

 俺は思い切りうんうんと肯き、アルファに頼んだ。

「では、帰してもらえませんか。明日も仕事があるんで早く寝たいのです」

 俺がそういうと、アルファは待ってくださいと言って俺に説明した。


「今回は神の手を経ない外法魔術によって行われたので、これをまず強制解除せねばならないので、今すぐにはできないのです」

 困ったが、俺は別に仕事や会社に特に愛着があるわけでもないし、いわゆる社畜と言うわけでもない。

 とはいっても世間並みの常識はある。

 いきなりいなくなって仕事を放棄するような非常識は避けたい。

「では、いつ頃になりますか。元の世界に戻れるのは」

「以前あった例を参考にしますと、これから行く異世界の時間に換算するとおよそ八十年から百年と言ったところでしょうか。でも、あなたのいた世界では数分から一時間も経たないくらいですので、戻った時にそれほどの支障はないと思いますが」

 なるほど、それならば問題はないが、しかしどうやってその間、過ごせばいいのか。なのでアルファに訊いてみた。


「で、これから私はどうすればいいのでしょう」

「それについてもこれからご説明いたします」 

 アルファは手を伸ばして空間から分厚い本を取り出すと、それを開き、俺に一から説明をしてくれた。

 そこでアルファから壮大な暇つぶしを提案された。

 俺はそれにノった。単純に面白そうだったからだ。


 それからどれだけ時間が経ったがわからないが、必要な知識を学び、訓練をしてもらった。

 不思議なことにここでは疲れることも無いし、ストレスもなかった。

 おかげで俺は、暇つぶしには十分な能力を身に着けることができた。

 アルファが言うには、これから俺が行くところは多少野蛮な世界なので、念には念をと言うことだったが、冷静に考えてもこれはさすがにやりすぎオーバーキルではないかと思った。

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