第48話 猫と北海道。


旅行前の、空手の稽古も済ませて、

心置きなく、旅行の朝を迎えた。。。


朝から、さくらを迎えに行き、

さくらの、お母さんに、

見送られながら、僕たちは、

旅行に出発した。。。


「ふふっ。さくら、眠そうだね。」


「うん。眠いもん。」


引率の先生みたいに、さくらの、

手を引いて歩く。思えば、

最初、さくらが、こんなに、

甘えん坊さんだとは、思わなかった。


でも、こんなさくらも、可愛くて、

僕は好きだ。


「ほら、さくら、電車乗るよ。」


「うん。」


電車を待つ、ほんの数分でも、

僕にもたれて、寝てしまう。。。


手を繋いで、電車に乗り、

空いている席に、二人で座る。

伸びたさくらの髪が、

くすぐったい。

僕の手を握ったまま、

さくらは、夢の世界。


電車を乗り換えて、空港まで。。。


飛行機の、搭乗ロビーまでは、

ふらふら、眠そうだった、さくらも、

大きな飛行機が見えると、

子供のように、嬉しそう。


「ねぇ、琢磨。飛行機って、

あたし、初めてだから、

少し、緊張する。。。」


「大丈夫だよ。僕も、初めてだから。」


「飛行機乗ったら、

手を握っててね。」


「ふふっ。わかった。ずっと、

握ってるから。」


少し、緊張。でも、楽しみ。

そんなさくらを見ていると、

本当に、可愛いなって思う。


搭乗できるようになって、

さくらと、飛行機に。


入り口から、席に、ゆっくり進む。


「あ、ここだよ。」


「うん。飛行機って、案外、

狭いんだね。」


さくらを、窓際に座らせて、僕が、

通路側に座る。


「ねぇ、琢磨。落ちたりしないよね。」


ちょっと不安そうな、さくら。


「落ちないと思うけど、落ちても、

手は、離さないから。」


「うん。じゃあ、大丈夫だね。」


そう言って、さくらは、微笑んだ。


アナウンスが入って、飛行機は、

加速して、空へ。。。


「ねぇ、琢磨。

ジェットコースターみたいで、

凄かったね。」


「うん。そうだね。なんか、

楽しかった。」


あっという間に、雲の高さへ。

飛行機から見える町並みは、

とても、小さかった。。。


さくらは、窓の外で、

何かを見つけては、僕に報告する。


とても、嬉しそうで、来て良かった。


雲の中に入ると、窓の外は、真っ白。


「琢磨、雲だよ。雲。」


「ふふっ。そうだね。雲だね。」


初めての飛行機。僕も、初めてだけど、

さくらが、テンション高くて、

僕は、そんな、さくらを、

ずっと、見ながら、微笑んでいた。


雲を抜けると、少しして、空港が、

見えてきた。

飛行機は、少し旋回すると、

徐々に、高度を下げて、

「ザンッ」と音と、振動がして、

着陸した。。。


その間、さくらは、僕の手を、

ぎゅっと、握っていた。。。


「ねぇ、琢磨、ちょっと怖かったよ。」


「うん。僕も、びっくりした。」


「ふふっ。琢磨もこわかった?」


「ん~。どちらかと言うと、

面白かった。ジェットコースター

と言うか、アトラクションみたい。」


「ふふっ。そう言えば、

そんな感じだったね。」


暫くすると、アナウンスが、流れて、

飛行機から、空港に降り立った。


空港は、広々としていて、マップを、

見ないと、迷子になりそうだった。


「さくら、手繋いで行こ。離れたら、

迷子になるよ。」


「うん。」


さくらの手を、そっと握って、

バス乗場まで、ゆっくりと、

歩いた。。。


「ここで、バスに乗れば、

ホテルに、行けるみたいだよ。」


「うん。着いたら、ご飯にしようね。」


「うん。お腹空いた~。」


「ふふっ。あたしも。」


ホテルまでは、後少し。


ご飯までも、後少し。。。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る