第9話 猫とおやつ
さくらとの約束。。。明日は、
待ち合わせの土曜日。。。
クロに会いに行くのは、楽しみ。
だけど、さくらの、家なのかもと、
思うと、緊張してきた。
結局、電話番号を、交換しても、
電話が、鳴った事はない。。。
携帯を、見詰めて、ため息。。。
「ふぅ。。」
突然、メールが、入った。。。
「起きてる?」
「起きてます。」と。返した。
「明日、クロと遊んで、その後、
ちょっと、
付き合って欲しいんだけど。」
「喜んで。」と。返した。
「じゃあ、お休みなさい。」
僕も、「お休みなさい。」と。返す。
たった、これだけのメールだけど、
凄く嬉しかった。。。
次の日。。。
僕は、この日の為に、準備してた、
クロのおやつを、持参して、
さくらとの、待ち合わせの場所へ。。
「少し、早く着いちゃったな。」
と独り言。。。
すると。。。
「あれ、琢磨。早くない?」
「いや、さくらこそ、早いよ。」
「ここ、家の近所だし。なんとなく。」
「あ、そうなんだ。」
さくらの、制服じゃない姿は、
とても、新鮮で、可愛かった。
「さくら。今日の格好、
とっても、可愛いね。」
「普通の、普段着だよ。
これで、可愛いなら、気合い入れて、
お化粧とかしたら、琢磨、
倒れちゃうね。」
「そうだね。倒れるかも。」
「あはは。もう、琢磨の、
そう言う所、好きだなぁ。。」
「さくらの、笑う顔も、
僕は、大好きだけど。」
「ふぅ。。。もう、琢磨の馬鹿。」
「本当の、事だから、僕は、
馬鹿だと思わないけどね。」
「はい。はい。琢磨の、
そう言う所、嫌いじゃないよ。」
僕たちは、さくらの、
アパートへ、一緒に歩いた。。。
初めての、彼女の家。。。
なんか、緊張。。。
「琢磨、上がって。」
「お邪魔します。。」
「あ、クロ。」
玄関の脇に、人の背丈くらいの、
大きめのゲージの中に、
クロがいた。。
「わぁ。元気だったか、クロ。」
ゲージの中から、クロが、
僕を見上げている。。。
「やっぱり、クロも、琢磨の事、
好きなんだね。」
「ん。クロも?」
「あたしも、琢磨の事、好きだよ。」
「え。と。ありがとう。」
面と向かって言われて。。。
滅茶苦茶照れた。。。
「あ。そうだ。これ。クロに、
あげていいかな?」
「あ、良いチョイスだね。
クロ、それ好きだよ。丁度、
切らしてて、それ、良く食べてる。」
「なんか、嬉しい。そうなんだ。」
「ちょっと待って、今、お皿出すね。」
お皿に、おやつを出して、クロに、
そっと、あげる。。
「なー。」
と言って、嬉しそうに、クロが食べる。
「喜んでるね、クロ。」
「ほんと? 僕も、凄く嬉しい。」
「これ、置いていくね。」
「うん。ありがとう、琢磨。」
さくらは、クロのおやつ入れに、
僕のあげた、おやつをしまうと、
僕には、麦茶を出してくれた。
「ありがと、さくら。」
「どういたしまして。」
「あれ、今日は、家の人いないの?」
「うん。午前中は、お母さん、
仕事なの。」
「ああ、そうなんだ。今日、
挨拶しなきゃって、ちょっと、
緊張してた。」
「ちなみに、なんて、挨拶する予定?」
「う~ん。色んなバージョンを、
考えたんだけど。。」
「どんな?」
「普通に、自己紹介でしょ。
二つ目は、さくらさんと、
お付き合いしてます。でしょ。
三つ目は、さくらさんを、
下さい。かな。」
「あははっ。三つ目は、辞めて。
お母さん、ビックリしちゃうよ。」
「やっぱり、そうかな?」
「普通に、自己紹介で、いいよ。」
「やっぱり、そうかな?」
「そうだよ。でも、良かった、
お母さんいなくて。。
いきなり、三つ目だったら、
あたしも、ビックリしちゃうよ。」
「じゃあ、お母さんにあったら、
自己紹介にするね。」
「うん。でも、考えててくれたのは、
素直に嬉しいかなぁ。」
「いやぁ。普通に、考えるでしょ。」
「まぁ。琢磨の気持ちは、
あたしには、伝わったから。」
「うん。良かった。」
ゲージから、出てるクロが、
そわそわして、玄関の方に歩く。。
「あ、お母さん帰ってきた。」
「え。そうなの?」
「うん。クロが、玄関の方に、
いるもん。」
丁度、その時。。「ガチャ」っと、
玄関の扉が開いて、さくらの、
お母さんが、帰ってきた。。。
お母さんの顔を見て、クロが
「なー。」と鳴く。
「お母さん、お帰りなさい。」
「ただいま。クロ。。。さくら。。
あら、いらっしゃい。え、と。
琢磨くんで、いいのかしら?」
「はい。橋本琢磨です。
宜しくお願いします。」
「うん。ちゃんと、挨拶できる子、
私は、好きよ。さくらと、
仲良くしてあげてね。」
「お母さん、琢磨が、クロの、
恩人なの。」
「あの時の、そう。ありがとう、
琢磨くん。」
「あ、いえ、当たり前の事を、
しただけです。」
「そんな事は、ないわよ。普通なら、
そのまま、放置されても、
おかしくないもの。
あなたは、クロの恩人ね。」
「はぁ。でも、僕は、さくらさんの、
猫だって、知ってたもので。
だから、助けても、
当たり前だったんです。」
「あら、そうなの?」
「はい。パンをあげようとして、
さくらに、蹴られたので。」
「ふふっ。そうなのね。」
「琢磨、余計な事、言うな。」
「で、さくらと、
随分中良いみたいだけど。。。
お付き合いしているのかしら?」
「あ、はい。プロポーズしました。」
「ちょっと、琢磨。」
「プロポーズ?されたの?さくら?」
「うん。琢磨が、毎日、あたしの、
ご飯を食べたいって。。。」
「あ、なるほど。だから、お弁当、
余計に作ってたのね。私、てっきり、
相手は、女の子だと、思っていたわ。
へぇ。。。さくらも、やるわね。」
「もう、お母さん。からかわないで。」
クロが、さくらの、上にちょこんと、
座る。。。
「なー。」
「ふふっ。クロも、琢磨くんが、
来てくれて、喜んでるねみたいね。」
「そうなんですかね。でも、
さくらも好きですけど、
クロも好きです。」
「琢磨。さらっと、良くお母さんの、
前で、言うよね。」
「まぁ、本当の事だから、言うけど。」
「まぁ、琢磨くんて、面白い。」
「そうなの、お母さん。琢磨、
平気で、好きとか言うんだよ。」
「さくら、そう言う思った事、
ちゃんと、言える人って、
なかなか、いないのよ。。
琢磨くん、お父さんと、似てるわ。」
「え。そう。なの?」
「お父さんも、私に、当たり前の様に、
そう言う事を、平気で、言ってたよ。
ご飯を食べながら、言われたの、
もしかして?。。。プロポーズ?」
「うん。そう。」
「じゃ。私と一緒ね。」
「え。そう。なの?」
「うん。お母さんも、お父さんに、
ご飯を作ってあげた時、言われた。
でも、流石に、高校じゃないけど。」
「そうだよね。普通。」
「まぁ。でも、琢磨くん、
さくらと、仲良くしてあげてね。
私は、琢磨くんが、好い人だと、
思うわ。」
「はい。さくらさんを、
幸せにします。」
「もう、琢磨。気が早いって。」
「いや、本気で、そう思ってるから、
大丈夫だよ。」
「はぁ。そこまで行くと、
あたしも、何も言えない。。。」
「ふふっ。何か、琢磨くん、
お父さんより、凄いわね。」
「お母さん、琢磨とこの後、
ちょっと、出掛けてくるね。」
「うん。お母さん、家で、
ゆっくりしてるから、さくらも、
楽しんで来てね。」
ちょっと、さくらに、怒られながら、
僕たちは、出掛けた。。。
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