第9話 ボランティアの功罪~一個人の意見と提言

 ※本稿は、ボランティア活動やボランティアに従事する人を非難する意図はありません。


 NPO法人というものがある。

 非営利の活動を主とする団体に法人格を与えるものである。


 阪神・淡路大震災の時、全国各地から支援者の輪が広がり自治体だけではその活動を統括することができなくなったため、それらを効率的に支援、運用するために作られた制度とも言える。


 以来、大規模災害時には大小様々な組織が現地にて展開、自治体と連携しその活動を以て被災地への支援を行っている。

 その活動を支える中核となるのが、市民ボランティアと呼ばれる一般の人々である。


 であるのだが……。


 以下の内容は全くの一個人の意見で、誹謗中傷ともとられる恐れもあります。よって、否定的なコメントが寄せられた際には取り下げることも考えております。

 どうか、一部分のみにて悪し様に受け取られることの無いよう望みます。


 ………………………………


 当然ながら、田舎より都会の方が人口が多いため、募集をかければ必然的に都会の人が多くなる、というのは避けられないだろう。


 ボランティアの集合場所にて感じたのは、いかにも都会から来て泥仕事など一度もしたことがありません、ということを全身で表現しているような人ばかり。

 仕事、ではなくボランティアであるため、当然資格や経験などは問われないだろう。服装だって本人任せ、基本的に必要な物は現地で用意しているだろう、という考えがありありと分かる出で立ちの者が多すぎるのだ。


 それを責めるわけにはいかない、ということは分かる。分かってはいるのだが……

 流石に、Tシャツにサンダルで観光地にいるような風体で来ているような奴を見かけると、私はスコップで殴ってやりたくなる。


 最近では、ボランティアの応募要項にも様々な要件が盛り込まれていることが多い。

 流石に前述のような人間に来られても、現地で対応する側が迷惑だろう。酷いのになると「わざわざ来てやってんのに、なんで俺の仕事が無いんだ!?」とキレ散らかす輩もいるらしい。………仕事増やすな。


 作業で必要になる道具くらいは現地で用意するべき、という考えもあるかもしれないが、それを前提として被災地に来るのは明らかにロジックとして間違っていると思う。物資が必要なのは被災者の方であって、ボランティアに割くリソースの余裕など被災地には無いのだ。

 作業内容に合わせて、必要な得意分野も変わってくる。事務仕事しかやったことの無い人間に、瓦礫の撤去などは不向きだろう。

 本職とは言わないまでも、せめて土木工事のバイト経験くらいはある人間の方が望ましいはずだ。


 そして、現場に来るときの心構えも足りていないことが多い。

 こともあろうに、

「昼食は出るんですか?」

 などという言葉も聞かれたという。

 ……もちろんそれも、対応する組織によって千差万別だろうが、基本的に自分のことを自分で賄えない人間は被災地に来られても迷惑なだけなのだ。自分の食べる食事と飲料水くらいは当然自前で準備してくること。現場によっては携帯トイレも持っていく必要があるかもしれない。トイレットペーパーも忘れずに。

 最低でも、身体に合った作業服と手拭い雨合羽、軍手と長靴くらいは自分で選んで自分で用意できる人間でなければ、被災地に来る資格など無い、と私は考えている。


 この話をすると、ボランティアに来てくださっている人に対して失礼だ、もっと対応を篤くしろ、等と宣う人間もいる。


 目的の勘違いも甚だしい。


 被災地は、未経験者にボランティア経験を積ませるための場所ではない。役に立たない人間が、興味本位や安い善意で来るところではないのだ。


 世間の柵、同調圧力が生んだ空気か、或いは……、自己顕示欲の発露に都合のいい場所だと考えている馬鹿者が多いのか。


 ──だって、やったこと無いし、経験積む場だって無いじゃないか。


 子供じみた言い訳が聞こえて来るようだ。

 無いなら、その制度を作ればよい。


 語弊を恐れずに言えば、私は、日本にも役務制度が必要だと思う。

 徴兵制、とまではいかなくとも、ある年齢に達したら一定期間、肉体労働に従事し、最低限の作業知識と経験くらいは、全国民に積ませるべきだと思うのだ。土木工事でも、農作業でも、沿道の清掃や草刈りだって重要で立派な仕事だ。


 この社会は、そんな汗を流してくださっている人たちの仕事で成り立っているのだ。それを知りもしない、理解すらできない人間が、軽々しくボランティアだなどと口にする資格は無いと、私は考えている。

 

 勝ち組と呼ばれる、カッコいい、煌びやかな仕事就く人間がどれ程魅力なのか、私には分からない。だが、自ら汗を流し身体を動かし事に仕える人間を蔑ろにする考えだけは、断じて許せない。

 そんな奴らが、状況を見て都合のいい時だけ現場礼讃などしないで貰いたいのだ。


 忘れてはいけない、そんな作業に特化し活動してくださっている現場作業員の方々、さらには自衛隊のみなさまが、我が国では日々活動しているのである。


 今日も一日、ご苦労様です。

 明日も、ご安全に。



 ※文中の表現に、問題がありましたら取り下げたいと思います。コメントにてお知らせください。


 

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