三行小説(公募ガイドより)

お題「映画」

 自分の心の中が映される映画館が誕生。

 ある者は喜び、ある者は悲しみ、

 ある者は逮捕された。


※何があったの? と思わせる見事なヒキです。


 彼との出会いは映画館だった。

 その彼が別の女と映画に来ていたため問い詰めた。

 一年も前から隣に座って観ていたのに、私のことを知らないと言う。本当にヒドイ。


※叙述トリックでしょうか。小説ならではの見えないからこそ描ける展開ですね。


お題「広告」

 「黒猫をお譲りします。限定3名様」

 ペットを飼いたいと思っていた私は、すぐさま広告の住所へ向かった。

 広告主は私を見るとこう伝えた。

「ところで、どの部位をご希望ですか?」


※通常の流れに、部位、という言葉を入れるだけでいきなり話が変わってきます。


 18歳の家出娘に借りられる部屋などいくら探してもなかった。

 気がつくと一軒の家の前にいた。玄関にチラシが貼ってある。

「空室あり。ご希望の方は、お手持ちの鍵でお入りください」


※鍵とは普通部屋を決めてからもらうのに、お手持ち、というだけでそれがその人が元々持っている鍵、ということになり、それが何を意味するのか、先が気になってしまいます。


お題「小説家」

 突然の電話で、私の処女小説が文学賞にノミネートされたことを知った。

 取材の申し込みも殺到しており、初めての取材は来週だという。

 私はまだ読んだことのない自分の小説を手に取った。


※お、と思わせつつ、あれかな? と思わせるのも引き込ませるには大事な要素のようです。予想がある程度ついていたほうが、読者は自分の予想が当たっているかどうかを気になって読んでくれるからです。


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