よし、デートに行こう! 1.出会い頭事故
「ふんふ~ん、ふふふふ~ん」
俺は途轍もなく上機嫌だ。なんせ今日はデートだからな。
今の俺は素の姿。オッドアイと銀髪のまま、家でクルスと一緒に選んだ服を着て待ち合わせ場所に向かっていた。
にしても、「待ち合わせ」か。何気に初めてだったな。
……やばい、急に不安になってきた。クルス、変なのに絡まれてないよな?
そう考えて俺は少し勇み足で待ち合わせに向かった。
⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔⇔
「で、あなたはなんなのかしら?」
「いや、だからさ。一緒に遊ばないか、って聞いてんの」
「それに対しては「遊ばない」と答えましたよね。それでも引かないあなたはなんなの、と聞いているんです」
「悪いけど君みたいにかわいい子、絶対に逃したくないんだよね」
「……彼氏と待ち合わせだといったはずですよね」
「そんなの関係ねぇよ。なぁ、遊ぼうぜ。このあと来る俺の連れと一緒にさ」
玲牙の危惧通り、案の定クルスは絡まれていた。
クルスに絡んでいる男はどんな人が見ても一発で「不良だ」と思うような服装をしていて、耳にはピアス、髪は地毛ではなく染められていた。
実はこの不良、翔多の所属していると言っている不良グループの一人である。
「……反吐が出ますね」
「は?」
「ナンパは百歩、いえ一万歩譲っていいとしましょう。けれども相手が嫌がってる上にこれから予定がある、しかも人と一緒にある予定と言ってるのに引き下がらず、ナンパを続けるあなたにはほんとに反吐が出ます。なんですか、あなたは自分が話せば誰でも堕ちると思ってたんですか?そう思っているのであれば正直に言いますがあなた、相当不細工ですよ。少なくとも私の彼氏とは天と地ほど、いえ天国と地獄ほどの差がありますよ」
……強かだな、この嫁。ここまで言えるか、普通?
「てめぇ、このアマ!」
キレた不良は拳を振り上げ、クルスに放とうとしたその時だった。
「何してるのよ!」
「あぁ?誰だおめぇ?」
「……通りすがりの単なる一般人よ。でも目の前で暴力を振るわれるのを冷たい目で見れるほどの度胸は持ち合わせないわ!」
「……あなたは?」
「すいません、絡まれてると気付いた時に助けるべきでした……」
「……謝らなくても大丈夫ですよ。普通、こういう状況を見ても保身のために動かないですから。それに……あ、来たみたいですし。」
そう言ってクルスはとある方向を指した。
その先には静かに怒りが漏れ出ている玲牙がいた。
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次回「深崎玲牙、キレる」
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