第2話 これは憑依?

「知らない天井だ...」

ずっと言いたかったセリフがつい口からこぼれた。どうやら部屋の中にいるようだが、全く見覚えがない。しかし不思議と心は落ち着いている。


とりあえず現状を把握するために部屋の中を物色してみる。ベッドの他に机があるが、机の上には何もない。ふと横に掛けられているリュックが目にとまった。

開けてみると財布と交通系ICカードらしきものの入ったケースが見つかった。

財布には見たことのない紙幣と硬貨がある。

カードの名前には「サトウ オサム」と書かれていた。


自分と同じ名前であったため安心したが、

「病院でも自宅でもない、ここは一体どこだ...?」

それにどうも自分の身体が若返っているように思う。

明らかに身体が細くなっており、腕や足を動かす際にも今までより軽く感じる。


部屋の中にいてもこれ以上の進展がないと思い、

少し怖くもあったが、とりあえず部屋の外に出てみようと思った。

慎重に扉を開けると目の前には下に続く階段があった。

横をみると手前にトイレがあり、奥には二部屋あるのが見える。誰かの寝室のようだ。下の階からかすかに物音が聞こえた気もしたが、とりあえず下に降りてみることにした。







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