第46話 公爵令嬢の正体
ヤッバ……
俺、結婚は求めてませんって言って、公爵様に喜ばれる場合しか考えてなかったんだけど……。
どうしようか……?
俺は何も言えなくなってしまう。
そんなとき。
傍に座っていたジェシカさんが
「勇者様」
……俺に。
そっと囁いて来たんだ。
俺が視線を向けると、彼女は
「とりあえず、一度その公爵令嬢様と会ってみましょう。顔も知らない相手なんだから、こっちにだってそれから決める権利くらいあるはずです」
そんなことを言うんだけど。
もし公爵令嬢に実際に会ってから断ったら、その時点で神器の鏡を借りる計画、詰まないか?
でもまぁ、本人に会わないと話にならんよね。
だから
公爵令嬢に会わせて下さい。
これを公爵様に伝えて、呼んで貰ったんだが。
本人に会って驚いた。
それは……
外で会ったときみたいに、鎧を着てはいなかったんだけど。
ちゃんとドレスで良いのかな……?
公爵令嬢らしい、赤と白のカラーリングの、典型的貴族女性衣装を身に纏った女性が現れて。
その人は金髪縦ロールで……
ってか。
……この人、リリスさんじゃん!
彼女は、少し悪戯っぽい笑みを浮かべて俺たちを見つつ
「この姿でははじめまして。リリィと申します」
そう言って、彼女は丁寧にお辞儀をしてくれたんだ。
いや、ニコニコされても。
彼女。
ドアから入って来て、俺たちが座ってるソファの傍にまで歩いてきて。
それで……
どうしよう?
ああ……変な汗が出て来た……!
俺がそう思っていたら。
「あの、ちょっとよろしいですか?」
……ここで。
姉さんが手を挙げてくれたんだよ。
「何かね?」
公爵様のそんな言葉に。
姉さんはこう続けた。
「リリィ様と我々だけでお話しさせていただけませんか? 多分、このまま私の弟がリリィ様の夫に収まると、問題が起きる気が致します」
身分差婚は、様々な摩擦の元ですし。
そう、堂々と。
すると
「ふむ……一理あるな……。まぁ、良かろう。リリィよ……いいか?」
「ええ。任せていただいて大丈夫ですわ」
リリスさん改め、リリィさんが公爵様の言うことを了承する。
それを確認し、公爵様は
「うむ。では任せたぞ」
……そう言って、公爵様はその場を去り、従者と一緒に部屋を出て行った……!
その場に残される俺たちとリリィさん。
リリィさんは向かいのソファ……つまり、公爵様が座っていた席に腰を下ろした。
その物腰はとても上品で……
俺たちの仲間・リリスさんとして戦っていたときと、イメージ的に繋がりにくかった。
全く一致しないというわけでは無いけど……
さて……
これからどうしよう?
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