【BL注意報】僕が定食屋に通う理由はイケメン吸血鬼の先輩である氷の王子様に惚れたからです。
夕日ゆうや
第1話 出会い
僕は自分の顔が嫌いだ。
鏡で見る度に落ち込む。
なんで僕は女性らしい顔立ちをしているのだろう。
小顔で美男子と言われているけど、それも嫌味に聞こえるほどだ。
今日から高校生。
制服の袖を通すけど、やっぱり顔は変わってくれない。
哀しい。
親にはとても言える話ではないけど……。
両親が嫌いな訳じゃない。どちらかと言えば好きな方。
でも僕は今、親と距離をとっている。
高校になると同時、本島にやってきて一人暮らしをしている。
高校生でも親の許可があれば一人暮らしができる。
『女連れ込み放題な一人暮らしなど許さん!』
そう息巻いていた父も最終的には渋々承諾してくれた。
「だいたいなんだよ。連れ込み放題って……」
中学のとき、僕がいじめれていたことも知らないんだろうけど。
ため息を吐き僕は高校までの道のりを歩いていた。
その途中。
冷徹な視線を前に向けている青年がいた。
整った顔立ち。短く銀色の髪。赤い双眸には一切の光を感じない。
制服がよく似合う格好いい系の男の子。
氷の王子様。そんなイメージが湧いた。
なんだか、その子にドキッとしてしまう。
見た目が良いせいか、周りの女子がキャーキャー言いながらスマホを向けている。
「まって、おかしいよ! 勝手に撮るなんて!」
僕はそう言ってその男の子の前に出る。
ビクッと顔を歪める氷の王子様。
「そんなに撮りたいなら僕を撮れ!」
その言葉に一瞬ひるむ女子陣。
だが、すぐに。
「きゃーあの子可愛い♪」
女子陣は僕を獲物にした。
僕のあられもない姿を写真に収めていく。
銀色の髪を揺らし、スタスタと歩き去る赤い目をした男の子。
彼はどんな人なのだろう。
その興味が上回った。
僕は急いで後を追う。
まだ女子は盗撮を続けている。
僕はそんな女子にうんざりしているのだった。
体育館前で新入生に渡される花のバッチを胸につけて、席に座る。
僕は周りを見渡して、知り合いがいないことを確認する。
僕にとっては過去は消し去りたいもの。
ふと壇上を見上げる。
在校生からのお言葉の時間だ。
そこには今朝の氷の王子様がいた。
「――在校生代表、
蚊上って言うんだ。
あまり聞かない苗字かも。
パチパチと拍手の中、下段する蚊上さん。
すっかり目を奪われてしまった。
これでは他の女子と一緒だ。
申し訳ない気持ちで、罪悪感で胸が苦しくなった。
僕もミーハーな女子の奇異を見る目は嫌いだというのに。
同じだ。
僕もルッキズムだった。
情けない話だ。
そのあと、お偉い人々が何か話していたけど、耳には入らなかった。
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