第15話 レベルもwpも爆上がりよ!

「お、お父さん!ミノルおじさん!私レベルがいっぱい上がってる!なんで?」


 一気に10も上がってるし!ステータスを何回見直してもやっぱり上がってるわ!



 名前:エリーゼ

 種族:人間


 LV:12

 生命力:128

 精神力:243,741

 体力:47

 知力:126

 敏捷:105

 器用:81

 気力:148

 魔力:600

 状態:正常


 眷属:まゆげちゃん


 技能: 重機LV2、魔力操作LV4、身体強化LV1、恐怖耐性LV1、探知LV1、地図LV1


 受動技能:精神力回復力増加、精神力回復量増加、幸運、努力、根性


 称号:努力人、投資家、救命士



 やばい!精神力6桁!他もめっちゃ高い!スキルも称号も増えちゃった!


 ミノルおじさんが教えてくれたんだけど、この世界の人のステータスは生命力と精神力が500、気力と魔力が300、その他のステータスが100超えたら英雄クラスらしいのよ。


 なんかもう半分が超えてるし!


「まあ10歳であれだけの経験をしたんだから当然かもな。良かったじゃねえか」


 ミノルおじさんはうれしそう。


「レベル12…私だって17なのに…不味い、娘に抜かれてしまう!」


 お父さんはがっくりした顔。


 お兄ちゃんは17歳でレベル9、お母さんに至っては確かLV7だったと思うわ。


「ウォール商会の旦那、商人でLV17っていやぁかなりやる方だと思いますよ。その辺の中級冒険者でやっとLV20がいい所だからな。凄ぇじゃないですか!」


「そうです、衛兵の俺でLV19ですから」


「おっ!俺もレベルが上がってるな!26になってるぞ!」


「冒険者の旦那、折角彼が父の威厳を高めてるんだから水を差さないでくれよ……」


「おっとそうだな、済まねぇ。」


「まあまあ……」


「皆さんお気遣いありがとうございます。私もう少し頑張りますよ!」


 おじさん4人が何やらブツブツ言いながら笑ってる。全く誰も得しないわね!


 でも、この街のカッコイイおじさん達が全て集まれば少し需要が出るかも。


 そんな時が来れば良いわね。


 ………。


 ちっ!まだ談笑してるし!


 仕方がないから私重機のスキルステータスを見てみたわ。こっちはまだレベル上がってないからラインナップに変化はなさそ……あれ?


 wpがおかしなことになってる。



『燃料 1ℓ 40mp(魔力操作LV4割引)


 現在のwp=213,300 貯蓄mp=0』



 め、めっちゃ増えてるーー!


 なんで!?確かに門からここまで7キロくらいあるから7,000ポイント増えてるんなら分かるわ。


 それならさっきのと併せて1万ちょっとのポイントになる筈。


 その計算でいけば20万ほど多い。


 うーーん……


 あっそうだ!さっきステータスに書いてあった油圧ショベルの項目を触ったら詳細が出たわね。


 それなら、wpも触れば何か情報が得られるかも知れないわ!


 私はスキルステータスのwpの所をちょんちょんと触ってみた。



『本日の売上


 配送 1,700wp

 配送 1,600wp

 配送 1,600wp

 配送 7,200wp

 緊急依頼 50,000wp

 要救助 100,000wp

 人員輸送 14,000wp

 人員輸送(荷台配送扱い) 7,200wp

 リース料金 30,000wp


 合計 213,300wp』



 ……上3つは分かる。4つ目も理解するわ。


 5つ目、緊急依頼ってなによ。もしかして怪我した人を運んだのが緊急依頼だったのかな?


 6つ目、要救助の費目高っ!!


 7、8は多分隊長さんと冒険者のおじさんの運賃だ。荷台は荷物扱い…なんだかすいません。


 9つ目は何よ……ま、まさか荷台での処置の『治療ベッド代』!?


 救助費目に含めてあげてほしいわ。


「み、ミノルおじさんちょっと良いですか?」


「ん?どうした?」


「ワーキングポイントがおかしいんですけど……」


「エリーゼ、何かあったのかい?」


 私はおじさんトークに花を咲かせているミノルおじさんに声を掛けてワーキングポイントが増えたことを伝えたわ。


 お父さんや隊長さん、冒険者のおじさんも興味深そうに話を聞いてる。


「なるほどな、俺が先に金を払って頼んだ荷物は通常の配送で、急な出来事を口約束で受けたら緊急依頼。要救助はまあ置いといて、人を運んだら2倍のポイントを稼ぐと。まあ重機は人員輸送の為の車輌じゃねぇからこれは白タク行為だな。ここにゃそんな法律ねぇけどよ」


 おじさん分かるんだ、すごー!


「て言うか車輌は他人に貸せるようだな。まぁやらねぇ方が良いとは思うが場合によっては便利だぞ」


「そうだね、別の重機を手に入れたらそんなことがあるかも知れないです!」


 おじさんが言ってた『ダンプ』に『油圧ショベル』で掬った土を載せてよそで降ろすとか1人じゃ大変なことも重機を貸せば出来るわ。


「父ちゃんが早速明日からよその街に買い付けに行きたいって言ってたぞ。頑張って稼いで早く他の重機も見せて下さい!」


「エリーゼが良ければ早速行ってみよう。まゆげちゃんなら無事に行けるだろうから」


「ああ、あの速度ならそこらの魔物より断然速いから問題ないだろうな」


 おじさん達がまた楽しそうにお喋りを始めちゃった。


 て言うかやっぱり出たわ!ミノルおじさんの『下さい!』が!


 いつも言葉遣いが悪いのに、なぜかお願いする時だけ『下さい』って言うの。


「ミノルおじさんは車を見たい時必ず丁寧な言葉で頼んでくるよね……ちょっと気持ち悪いです」


「ぐっ、気を付けるよ」


 少しシュンとした顔してるミノルおじさん。でもこの人絶対『下さい』の癖治らないと思います。


「ねぇミノルおじさん、次はどの重機が見たいですか?」


 得意の腕組み髭擦りをしながら考えてるミノルおじさん。


「そうだなぁ、取り敢えずトラックはまゆげで足りてるからな。値段の安いリフトかホイールローダーがいいと思うぞ。リフトは市場や港に積み上げてある荷物を移動させるのにいいな。ホイールローダーは土砂を掬って移動させるのに向いてるぞ。この街の西側がまだ開発中だから土砂を掬って慣らすことが出来れば役に立つな」


 マールには港はないからフォークリフトはあまり役に立ちそうにないわ。


 それに土砂を運ぶって商人がする仕事とは思えないんですけど!?


「土砂を運ぶ……それって商業ギルド会員の仕事なんですか?」


「うーん、どちらかと言えば冒険者ギルドの仕事だな」


 やっぱり!


 重機って働く車なのよね。商売に使うならまゆげちゃんだけで充分な気がしてきたわ。


 そこへいくと冒険者さんは土木工事の依頼もありそうだし、いろいろ働けるんじゃないかな。


「冒険者のおじさん」


 私は身体の大きい冒険者のおじさんに声を掛けてみた。


「なんだい嬢ちゃん」


「私も冒険者ギルドに登録出来ますか?」


 冒険者のおじさんはギョッとした顔で私を見たわ。


「えっ!?いやいや無理だろうよ!嬢ちゃん魔物と戦えるのかい?」


「えっ魔物と戦えるわけないじゃないですか!私の『重機』の力は土砂や荷物が運べるから、冒険者さんの仕事もあるんじゃないかなって思ったの」


「へぇ、その『重機』とやらは見る事が出来るかい?」


「今はまだまゆげちゃんしかいません。お父さんと商品の買い付けに行けばワーキングポイントが溜まるから、近いうちに見せることが出来ます」


 冒険者のおじさんはニッコリ笑いながら私の頭をちょっと荒っぽくポンポンと撫でた。


「分かった、なら今はお父さんの仕事を手伝う事に集中しろ。そしてそのポイントとやらが溜まったらまた俺に声を掛けてくれ。俺が責任もってここのギルドマスターと交渉してやるよ」


「はい!お願いします!」


「その時は俺も力を貸そう、エリーゼ嬢。衛士隊にも防壁普請などの土木工事はあるからな。沢山ポイントとやらを貯めておいてくれよ」


 隊長さんも私の頭を撫でてきたわ。冒険者のおじさんと違って優しく撫でてくれた。


 うふふ、なんだかお父さんが増えたみたいで嬉しいな。

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