異世界転生_「土木の錬金術師」スローライフ目指して頑張ります

相楽 快

第1話 異世界転生

島と島を結ぶ長い橋。

この橋を作り始めてから、そろそろ二年ほど経つであろうか。

「主任、いよいよですね」

彼女は今年入社した新入社員だ。

俺が手取り足取り教えた愛弟子だ。

センスがあり、覚えも早く、何より仕事が好きなようである。

見込みのある若者だ。

「ああ。接続部をジョイントすれば、竣工だ。今夜は盛大に打ち上げだな!」

部材がクレーンで持ち上げられ、ジョイント部近くに運ばれる。

この先はミリ単位の仕事だ。


ゆっくり、ゆっくり降ろされる。

ゴゴゴゴゴ、、、

何処からか妙な音が聞こえたかと思ったら、突如身体が倒れるほどの突風が吹いた。

「馬鹿な!今日は気圧も問題ないはずなのに」

近くの手すりに掴まり、すぐさまフックを掛かる。

「し、主任!助けて、飛ばされちゃう」

彼女は床に這いつくばって耐えているが、飛ばされるのは時間の問題だ。


「頑張れ、耐えろ、今行く!」

フックを外し、這うように彼女の元へ向かう。

突風は止む気配がない。

なんだこの風、明らかにおかしい。

「よし、こっちだ」

彼女の肩に手を回し、また這うように戻る。

「す、すいません。ありがとうございます」

怖かったのだろう、涙で顔がぐしゃぐしゃだ。

「よく頑張ったな。さあ、安全帯を」

そこまで言った途端、ふわりと自分の身体が浮いた。

「くっ」

何かを掴もうと手を振り回すが、何も掴めない。

「主任!」

伸ばされた手を掴もうとするが、虚しく空をきる。

ゴーーー!!!

凄まじい音と共に、身体が空は放り投げられる。

「ああああー、あー!!!」

眼下に完成間近の橋が見えた。

さすが俺たちが作った橋。

びくともしない。


死ぬな。

これは死ぬ。


海が見える。

太陽の煌めきが美しい。

キラキラと輝く光が目を覆う。

目の前が真っ白になった。



「もし、そなた。聞こえるか」

目を開ける。真っ白で何も見えない。

「ここは、、、」


「聞こえるか」


会話する気はないらしい


「聞こえます」


「そなたは異世界の魔力暴走に伴う二次被害で死ぬこととなった。不満はあるか」


「あります。橋の完成を見届けたかった。後輩の成長を見届けたかった。もっと、橋とか道路とか、たくさんつくりたかった」


自分の声がこだまする。

壁は意外と近くにあるのかもしれない。

反響具合から、ドームの形だろう。


「こんな立派なドームも作ってみたかった」


「余計な詮索を禁ずる。あいわかった。そなたの希望を叶えるべく、異世界転生させる。現世で培った技術、知識も残す。異議はあるか?」


ずっと感じていたが、上から目線だ。

役所の人よりも高圧的で、すこし腹が立つ。


「異世界転生というと、ギフトを授かるのが一般的だと認識しております。特別な才を賜りたい。できないのであれば、結構です」


「できないわけがない。甘くみるな。よろしい、そなたに錬金術師の才を与える。ゆめゆめ努力を怠るなかれ。世界に尽くすように」


「ご配慮痛み入ります。はい。承知しました」


また目の前が真っ白になった。



おぎゃー


自分の泣き声で意識が戻った。

ほう、これが異世界。

「あら、捨て子とは。すぐに中へ。寒さに耐えられないだろう」

老人が覗き込んでくるが、目がよく見えない。

不思議と言葉はわかる。

眠い。

眠気に従い、目を瞑った。


⬛︎⬛︎⬛︎

おばんです!作者の相楽 快です。

まずは、読んでもらえて嬉しいです。

ありがとうございます。

フォロー、このページの下にある☆☆☆の横にある+ボタンを押して、★★★と星を三つ何卒宜しくお願いします!!!

この作品の評価を教えてください。

感想も待ってます!

⬛︎⬛︎⬛︎

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る