紅蓮の火を消す花

へこあゆ

第1話

今こそ反乱の時である。


私たち革命軍は、街の人々の治安維持のために反乱活動を行っていた。


私の住んでいる街は、貧困層が多く住んでいるスラム街である。

殆どの人が文字を書けない。小学校を卒業した者はほとんどいない。

富裕層に石を投げられ、頭に血を流しながら物乞いをする子どももいる。

ある時は、身寄りのない子どもたちが食べ物を貰うために富裕層をピストルで脅すこともある。そしてほとんどの場合、富裕層に撃ち殺される。


そんな中、私たちは一部の友人と同盟を結び、富裕層に革命を起こし、私たちの街を少しでも裕福にするために戦うことに決めたのだ。


私たち革命軍は、富裕層のいる街で火蓋を切ることとなった。


富裕層が持つ武器は頑丈で、私たちが持つものより遥かに強力なものであった。

そして、私たちの友人は次々と屍となっていった。

私は富裕層を絶対に許さない、その想いを胸に持ちながら、腹を打たれて蹲った。


戦争が終わった時、私は知らない草原にいた。

そこで1人の少女と出会った。

「おじさん、怪我してるよ、ママに助けてもらうようお願いしてくる!」


そう言ってどこかへ走り去っていった。


ここは敵地だ。

いつ私が殺されてもおかしくない。

私はあの子の母親に殺されると思い、死の恐怖を感じていた。


しばらくして、とても可憐な女性が私の下へやってきた。

「あなた、大丈夫?そんなに怪我して。今すぐ私の施設で治療を施しましょう。」

私はまだ彼女を恐れていたが、その撫子のような佇まいに惹かれ、ついていくことにした。


たどり着いた場所は、孤児院だった。

周りに沢山の子どもが駆け寄り、

「おじさんだいじょうぶ?ここに来たからには安心だよ」

と次々に声をかけてくれた。


女性は私をベッドに連れて行き、

負傷した腹と腕を止血し、薬を塗ってくれた。


「随分手慣れていますね」

私は思わず無礼な言葉を口にしてしまった。

「私は今回の戦争で親を失った子どもたちを集めて、孤児院を作ったの。元々は祖母の残してくれていた別荘よ」

彼女は私に優しくて花笑んだ。


「私はあの子ども達の敵だぞ!?私に優しくしないでくれ」

私は青ざめてそう言った。

「もう戦争は終わったのよ。今の私たちに敵も味方もないわ。

ほら、治療が済んだから、あの子たちのお世話をしましょうか」


私はあの子達の親を奪ったことに自責の念を感じた。あの子達も自分がいた街と同じ境遇になっていたのだ。

私は子どもたちの世話を愛を込めてすることに決めた。


数年が経ち、私は彼女と一緒に住みながら孤児院で子どもを見ることに幸せを感じていた。


ある時1人の子どもが私たちに言った。

「僕にとって、2人はパパとママだよ!

これからもずっと一緒にいてね。」


私の心にやっと一輪の薔薇の花が咲いた。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

紅蓮の火を消す花 へこあゆ @hekoF91

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ