【祝】強すぎて作者に弱体化されたボスキャラに転生したので弱体化イベント回避して無双します 〜最強の魔眼と進化する神器で世界最強に〜【10000PV突破!】

いふる〜と@毎日七時投稿!

巡る命と覚醒の英雄、乖離する物語に祝福を

第1話 アルフレッド=シシリス


「どうなってんすかねこれ…」


鏡を見て一言目はそれだった。鏡に映っているのはびっくりするくらいイケメンな黒髪の少年、着ている服は絢爛でまさに貴族って感じの服だし、街を出歩けば見る女全員見惚れてしまうくらいの美少年だ。うんちょっと調子乗ったけど、日本にいたら100年に一度のイケメンってネットで話題になるだろう。


んで、混乱する原因が俺はこんな美少年じゃないってこと。俺はぴっちびちの高校3年男児とはいえこんな幼くないしイケメンじゃない。コイツ誰?


とか思ってると、いきなり扉のドアが開いた。


「『アルフレッド』様?どうかしました?」


「ん?ちょっと待ってください、今なんて言いました?」


「え?ですから、アルフレッド様と…というより、メイド程度に敬語などおやめください。どうなされたのですか?いつもなら『おいメイド!さっさと紅茶を持って来い!悪魔召喚の犠牲にするぞ!』と仰るのに…」


いきなりドアから現れた金髪の可愛いメイドが、やべぇ事言ってる。それとツッコミどころ満載だが一番無視してはいけないその名前だろう。


アルフレッド、アルフレッド。アルフレッド…


「アルフレッド!?アルフレッド=シシリス!?」


「本当にどうしたのですか?そうです、あなた様はシシリス侯爵家の次男、アルフレッド=シシリスでございます。」


突如として叩き付けられる事実。その名前には聞き覚えしかないのだ。


アニメ化された大人気漫画『黄昏のアルカナ』、主人公が学園に入学しヒロインと恋愛を繰り広げながら強くなり、最終的に1000年ぶりに復活してしまった魔王を倒す物語だ。まだ完結はしていないがアニメ化までされていて、俺はその大ファン。だからこそ、このアルフレッドというキャラの悲しい結末を知っている。


その最強キャラであり、作者から強すぎるせいで弱体化され地位をガタ落ちさせた可哀想なキャラ、それがアルフレッド=シシリスなのだ。


確かに、アルフレッドはアルカナにしては珍しい黒髪。そしてこの鏡にも映っている恐ろしく不気味で見るだけで恐怖を感じる紫の【魔眼】。これだけ条件が揃ってるとなると、俺は…


「アルフレッドに、転生した…?」


「てん、せい…?」


「いやこっちの話だ、ところで悪いが、名前は?」


「リーシャです。」


「じゃあリーシャ、図書室から魔導書を持ってきてくれないか?属性は何でも良い。」


「魔導書、ですか?」


「あぁ、頼む。」


そう告げると、リーシャと名乗った金髪メイドは部屋から出ていった。


(夢、じゃないよな。感覚がリアルすぎるし。)


あまりにも現実味がなさすぎて夢を疑うが、ほっぺを引っ張って返ってくる痛みを現実そのものだ。


だがまだ最終確認がある。俺が本当にアルフレッド=シシリスに転生したのなら、魔導書をこの魔眼で一目見ただけで魔法を使えるはずだ。


「お持ちしました。炎の魔導書です。」


「あぁ、ありがとう。」


「アルフレッド様が、感謝を…!?」


「俺そんなに傲慢な態度だったんだ!?」


そして10分ほど経つと、再度扉のドアが開いた。リーシャが魔導書を持ってきたのだ。


幼少期、おそらく5歳くらいのアルフレッドがどれだけメイドに対して傲慢だったのかを思い知りつつ、受け渡された赤色の分厚い本を開く。そして、すべてに一通り目を通したあと、俺は窓を開け、右手を外にかざした。


(わかる。今まで触れたことも感じたこともないのに、魔力の存在も、動かし方も、魔法の使い方も、制御の方法も。)


俺は目を瞑り、自分の右手に何か暖かいエネルギーを収束させていく。そして、エネルギーがある程度溜まったところで、炎のイメージを作り上げる。


そして、イメージが固まった瞬間、目を開き言葉を口にする。


「【炎球ファイアーボール】」


その瞬間、俺の右手の先に炎の球が出現する。熱量は近くにいるだけで汗が流れ出て肌がひりつくほどであり、制御の方法を本能で理解していなければ危なかった。


そして、俺は庭にむけて炎球を放つ。炎球は庭の地面へと豪速で衝突し激しい爆発音と共にクレーターを作り上げる。


「す、凄い…」


「うん、やっぱり、というべきか…」


リーシャは言葉を失ったような顔をしている。だがそれに対して俺は歓喜の表情を抑えきれずにいる。


「いよっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


アルフレッドは正真正銘の最強キャラ、魔力と魔法に関して最高級の性能を発揮する魔眼を持ち、アルフレッドだけは神器を使用できる。そんな馬鹿げたキャラに転生したのだ。嬉しくないわけがない。


問題はやがて来る弱体化イベントという名の魔眼剥奪イベントだが、これに関しては簡単だ。


イベントを跳ね除けられるくらいに、強くなれば良い。アルフレッドならば、それができる。いや、できないわけがない。


なぜなら俺はこの世界のことを原作知識というズルで大抵なんでも知っている。効率の良い鍛え方も、強い装備品の在り処も、そしてどういう運命で世界が進むのか知っている。


俺がニヤニヤしながら今後のことを考えていると、部屋の扉が突然勢いよく開いた。


「アルフレッド様!!!!!」


「どうなされたのですか!?」


俺が歓喜の叫びを上げると、鎧を着たいかにも騎士というべき様相の男二人が入ってきた。


その内の一人は俺も見覚えがある。否、見覚えしかない。


「ごめん、『スーザン』。魔法の練習をしようと思ったら、思ったより威力が強くて。」


「そ、それは大変ですが…アレを、坊ちゃまが?」


「うん、まだまだだけどね。」


俺が笑顔でそう言い放つと、『元特級冒険者』でありシシリス騎士団団長であるスーザンは、顔を引き攣らせた。




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