最弱パーティーから追放されたので、勇者パーティーに入ることにしました。

ゴブスラ

第1話 追放とその前日

「アルウ、少しいいか?」

 魔法使いのサナビが話したいようなので、サナビの部屋を訪れた。

「何のよう?」

のことはおぼえているか?」

 あの日のことは忘れることができない。僕にとっても彼らにとっても大事な日だったからだ。

「おぼえているよ」

「そうか、それならいいんだ」

 ホッとしたような表情を見せる。

「これからのことで話したいことがあるようだからリーダーのもとに行こう!」

「うん!」

 返事だけして、僕たちはリーダーのもとに向かって階段を降りた。


 のこと。つまりそれは、追放された日のことだ。

 アサチが僕に需要な話があるようなので、アサチの部屋を訪れた。

「アルウ、君は強すぎた。この最弱パーティーにはいらない強さだ。だから、君を追放する」

「追放!?なんで?」

 強い?未熟者の僕が!?

「強いからだよ!アルウくんが」

「そうだね。君は強いよ」

 みんなが揃いも揃って同じことを口にする。

「強い?どこが?」

「あの骸骨スケルトンのことは覚えているか?」

「覚えているよ!あれは、僕のパンチでも倒せないと思って、カアサかカオミが風魔法を放って倒したじゃないの?」

「うんうん、それは違うよ。君のパンチで骸骨は倒れたのだよ」

「……」

 カアサは首を振るだけで、2人とも否定をする。

「まだある。あそこで倒したボスの骸骨キングも剣を振っただけで倒したのだよ」

「骸骨キングなんて、私たちのようなパーティーは基本的に苦戦する魔物なんだよ!レベル30以上もあるのだから」

「えっ!?」

「全く知らなかったのか?」

「知らないよ」

 自分が強いなんて。自分自身が怖くなってきた。

「それだから、君は追放させてもらう。荷物だけまとめて出ていってほしい」

「今までありがとう」

 彼はその一言だけ言い残して、彼らは出ていった。


 これは、その前日のこと。

「今日もクエストだ!アルウ」

「そうだね!アルウくん」

「よろしく!」

「……」

 僕たちは4人のパーティーで薬草採取やゴブリン、スライム退治など低レアのクエストばかり受注しては達成する日々を送っている。

 今日のクエストを決めるために冒険者ギルドのクエスト掲示板の前に集まっている。

「今日はどうする?アサチ」

 アサチ。彼はこのパーティーリーダーの剣士。そして、パーティーメンバーの彼女もいる。

「武器、防具を買って、骸骨退治をしよう!」

「でも、お金足りる?」

 アサチが持っているお金袋を見ながらカアサは彼に問いかけている。

 カアサ。彼女はこのパーティー副リーダーのヒーラー。そして、アサチの彼女。

「足りなかったらあきらめよ」

「了解!アサチ」

 アサチとカアサはいつものようにじゃれあっている。

 僕だって彼女は欲しいのに。

 欲しさに下唇を甘噛みをする。

「……」

 基本的に喋ることがないパーティーメンバーがうちにはいる。

 カオミ。このパーティーの魔法使い。そして、無口。

「それじゃ、行くぞ!」

 骸骨退治の依頼を受注する。そして、骸骨退治に必要な武器、防具、聖水を鍛冶屋と道具屋で買った。

「みんな、準備はいいか?」

「「うん!」」

「……」

 最後までヤナミは無口だ。

 心配だ。


 門番に冒険者カードを見せて、徒歩半日で行ける距離にある暗闇のダンジョンに向かって歩いている。

「まだなのー」

 暗闇のダンジョンの手前にある森でカアサはアサチに甘えようとしている。

「まだだよ。あきらめずに行こう!カアサ」

「うん」


 森で遭遇して、カアサが倒した蜘蛛のモンスター・ネルスキャの蜘蛛糸、スライムの粘液を収穫して、目的の場所に向かうことにした。


「さっきは、ありがとう」

「うん!」

 カアサはとても可愛い。なんせ、俺の彼女だからだ。

「どうするの?アサチ」

 カアサは俺の顔を照れながら、伺うように覗き込んだ。

 近くでみるとめっちゃ可愛い!いかんいかん、カアサのことだけを思っていたらリーダーとして失格ではないか。

「みんな、準備はいいか?」

「行くぞー!!」

 俺たちは暗闇のダンジョンに入った。

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