第14話

20××年11月××日

朝起きたら知らない家だった。近所の男と知らない女が裸で寝ていたから、息を殺して家まで戻ってきた。全然記憶がない。


気持ちわるくなって胃の内容物を全て吐いてしまったから、歯磨きをする。ミネラルウォーターは飲んだもののまだ気持ちが悪い。


ネットで『多重人格』という言葉を検索すると、今は解離性同一障害という言葉でヒットする。


僕の場合は、虐待もないし、何故こうなったのかわからない。わかっているのは、やらなければ、行動しなければ、やられるという事。


病院には入りたくない。拘束されてしまうかもしれない。


怖い、だけど、そうだ。


記憶がなくなる前に、僕は、僕自身を


僕が僕でなくなる前に。

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