第54話 邪竜の猛攻(前編)
グレイシャル
玉座に
銀糸で
その顔には深いしわが刻まれ、目は
玉座の前に立つのは聖女アリア。
長い
その姿は神々しく、
「陛下。
「アリアよ……アランシアの
アリアの
「そうですか……では、
「
アリアは
何やら不気味な
アリアは
「ク、ググ……クックック、ゾルダグ ヴァズナゲ ドゥルゾッゲ」
低く
そして語る言葉は、いかなる人間の言語とも異なっていた。
アリアの体が
代わりに、その白磁のような背中の表面。
その赤い目の
その
アリアは赤く光る目で周囲を見回す。
「アランシア……ブラズガ ヴォルネゲ ズガゴル ゾルダグ。ゲズバグ ドゥルゾッゲ ガ ヴォルネゲ」
アリアは低く
■
アランシア王国の首都アーケイディア。
朝もやの中、街は少しずつ活気を
兵士たちが
その姿に、通りを
戦時下の
市場では、配給を受け取るために並ぶ人々の列が続いている。
野菜や
「はい、お待たせしました。
商人の声に、列の先頭の女性が
「ありがとう。子供たちも喜ぶわ」
そんな日常的なやり取りの中にも、どこか
戦争の
それでも、人々は明るく
その努力が、かえって現状の厳しさを
冷たいガラスに額を寄せると、外の空気の冷たさが伝わってくる。
シャルが
「ふわぁ~。相変わらず
確かに、以前と比べれば街にも活気が
それでも、人々の表情には
遠くの
その羽根が風を切る音が、かすかに聞こえてくるようだ。
その動きに目を
「あ、ミュウちゃん。あそこ見て」
シャルが指さす先には、
「ルシアン王、結構きっちりしてるよね。
ルシアン王の用心深さは以前から感じていた。
そんな
「あら、
「おはよ~、リンダ!」
「……!?」
そ、そんなこと……!
リンダは軽く
「ルシアン王が呼んでるわ。作戦会議よ」
長い
朝もやが晴れ、青空が広がり始めていた。
会議室に入ると、
ルシアン王を中心に、ゴルドーやナイア、そしてエルフの代表たちの姿が見える。
「よく
ルシアン王の声に、
「
その言葉に、会議室の空気が
ゴルドーが
「どういうことだ? ドラゴンか?」
「おそらくはな。しかしまさか、
ルシアン王の言葉が
地面が大きく
「なっ……!?」
そこには――
その姿は、まさに伝説の生き物そのもの。
その
とんでもない――。
規格外の大きさだ。たぶん、
こんなのが街を
「ド、ドラゴン!? なにこれ、でっっか!!」
シャルの声が裏返る。その声には、
「まさか、これが……グレイシャル
ゴルドーが低い声で
ルシアン王の表情が
「全軍に通達! 市民の
その声に応じるように兵士たちが
まるでこの動きを何度も訓練していたかのように。
城下町に
「シャル、リンダ。君たちは
「わかったわ」
が、ルシアン王は
「ミュウは待機だ。君にはやってもらいたいことがある」
「……?」
「んー、とにかくオッケー! 急いでみんな
「ああ、
階段を
「
「いいや。君たちにもやってもらうことがある。ひとまずここで待機としよう」
「
ゴルドーは特に異を唱えることもなく、ルシアン王のよくわからない指示に従った。
うーん、
窓から外を見ると、
空には
その中を、人々は必死に
「こっちよ! 急いで!」
シャルの声が
リンダは
その中を、兵士たちが整然と
そんな中、再び
黒い
人ひとり分はあろうかという
「来るぞ!」
ゴルドーの声が聞こえる。ほぼ同時に、ルシアン王の声が
「準備が整った! 全員、
その声に応じるように、最後の
「
その光は
光の波が
それはまるでガラスのドームのようだった。光が
(これは……! 前に暴走して
おかしくなったのを
果たして正常に動作したあの結界は、ドラゴンの
結界の完成と同時に、黒い
「うおっ!」
「きゃああっ!」
結界は――ヒビがかすかに入っているが、無事だ!
(……けど、ドラゴンも
バリアと、ドラゴンの
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