第39話

 一般的に、一次選考は、新人作家、元編集、編プロなど下読みの人が読みます。

 二次以降の中間選考は編集、最終選考は著名作家さんです。

 一次選考でなにをみているのかを簡単にいえば、文章力です。

 凝った世界観を書いたとして、わかりやすければ通ります。

 反対に、凝っていない世界観でも、わかりにくければ通りません。

 文章の意味をわかりやすく伝えることができているか、一回読んだらスッと頭に入ってくるのが、いい文章です。


 もし自分が読む側だったら、を考えてみてください。

「なんだか読みにくそう」と思った時点で、多くの人は読むのを諦めてしまいます。契約書や注意書きは、読まなければという意識が働くので、頑張って読むでしょうけれども。

 そうでない文章、読みにくいと感じたら避けられてしまいます。

 他にも、意図した内容と異なる捉え方をされ、誤解の原因にもなりかねません。

 相手に伝わりやすくするためにまず、文章全体の構造を作ります。導入や序論は客観的な状況説明からはじまり、本編や本論は主観。序論に対する自分の意見や仮説を書き、結末や結論は客観的視点からのまとめ。いわば、文章のカメラワークを考えます。

 思いつくままに書いた文章は細かい情報から伝えがち。細かい部分は後回しにして大きな枠を考えてから、その中で伝えたいことを細かく書いていく。そのために見出し設けてわかりやすくします。

 句読点をつかって文章の長さをコントロールし、段落や空白行をうまく使い、漢字・ひらがな・カタカナを適切に使います。

 漢字は多すぎても読みにくくなりますし、PCやスマホの変換機能にまかせ、難しい漢字の多用も問題です。書き手の好みよりも、読み手の読みやすさを気にしてください。

 同じように、一文の中に同じ漢字や文字を使うと、目が滑って読みにくく感じます。

 たとえが適当ですが、次のような文のことです。

「生産性向上のため、生産ラインの生産方法を生産的に改善し、生産量を生産的に増加させる生産計画を生産部門で生産した」

 これを直すと、

「効率向上のため、製造ラインの作業方法を効果的に改善し、製品の出来高を段階的に増やす計画を製造部門で立案した」

 となります。

 でも、漢字が多くて、読みづらい文なので読みやすく直すと、

「効率を上げるために、工場の作業方法を見直し、製品の数を少しずつ増やす計画を作りました」

 こうなります。

 読み手が読みやすい文章を自分は書けているのか気にして、小説を書いていってください。

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