噛みきれない


『赤い糸切れない絆で結ばれた二人、決めた要因は!?』


 そんなキャッチコピーに呆然としながら肉串を食べる。

 甘いか辛いかよくわからない味が口内に満ちる。

 記事はその部分だけで事態はわからないが正解。問題は、そう、問題は、噛みきれないんだが。咀嚼が終わらない。ぐっと力を入れて角度を変えても捻れた感触はあれど、分離しない。噛みきれないから飲み込めない。

 ただひたすらに咀嚼する。顎が疲れてきてもまだ噛みきれない。


「坊ちゃん、だいじょぶか?」


 私に向けられた心配げな男の声と視線に口を開けることができないので軽く目を逸らしておく。

 味は悪くない。周りの街人達は普通に噛み切って食べている。飲み込めない……噛みきれない私が、そう、貧弱だということなのだろう。悔しいので完食を目指す。


「坊ちゃん、噛みきれないなら出しちゃうのも一手ですよ?」


 ベイルがそう言ってくるのがまた悔しい。


「王都に比べれば食材の質は下がるからこうしがむのが旨い肉とかもあるんですが、文化の差からくる得手不得手はありますよ! こーゆーのを好むのは戦士やらの武闘派ですしね! 坊ちゃん文官系じゃないですか!」


 ほら、気にしない気にしないと茶化されて腹が立つ。

 小娘が「お味見、どうぞ。はい、あーん」と出してくる料理は噛みきれないなんてなかったぞ!?

 そんな味見の仕方は拒否だが。




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『絆/「はい、あーん」/赤い糸』のキーワードを使って5ツイート以内で今日のネタを作りましょう。【フラグポイント:+0】


 #odaidegoal #shindanmaker

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