旦那様と初遭遇
ベイル・ガートンが男の人を御者台に乗せてローレンス邸への道を魔導馬車でやってきます。
道は軽くニューが整備しておいたので振動がひどくてお尻が痛いという事は少ないはずです。乗り物酔いはわかりませんが。
魔導馬車がひく荷台がそれなりに大きなものなのですけど荷物が満載だとしてどこに入れていけるかしら?
納戸? 屋根裏。地下室の空き空間かしら?
「ニュー!」
ガートンが片手をあげてニューに声をかけてきます。
もちろんニューは大きい声で返事をします。
「無事にたどりついてね!」
道はそれなりにうねる坂道です。
おふたりが玄関に辿り着くまでに手洗い用の水の準備とお茶の準備は間に合うことでしょう。お好みがわからないので一般的なもので良いかしら?
ガートンより旦那様の方が若そうでした。
草原の青草ごしに見えた男の人は帽子をかぶっていて表情も面差しもわからなかった。
ニューが理解したのは明らかにガリガリで食べさせ甲斐がありそうだということです。
旦那様のお好きな味はなんでしょう?
ぜひぜひたくさん食べていただかねばなりませんね。
ニューがお迎え準備を終えたくらいで玄関先にたどりついた男性二人。
魔導馬車が止まる時特有の砂埃を舞い立てます。あとで掃き掃除しなくっちゃいけませんね。
うきうきするニューの注意を咳払いでひいたガートンがすこし気まずげにほっそりした長身の旦那様を手で示します。
「ニュー。彼がローレンス邸の新しい所有者だ。スコット。彼女はニュー。ローレンス邸の家政婦で近辺の管理もしている」
ニューが返事をする間も与えずガートンがニューの紹介をします。旦那様はスコット様ですね。理解しました。
それにしてもニューにご挨拶させないつもりですか。小太りガートンめ。
「ニューの住まいは離れだからスコットの療養生活は邪魔されることはない」
療養生活?
「お身体が?」
それは大変。早く寛いでいただかなくてはならないでしょう。
旦那様はムッとしたように黙り込んでらっしゃいます。チラチラとガートンを見ているのでニューもガートンを見ます。
なんですか。どういうことなんですか?
「あー、スコットは別に体が悪いわけじゃないんだ。ニュー」
「そうですか。それならよかったです」
一安心ですね。
「あー、言い難いんだが」
はい?
「ニューは母屋に入らないでほしい」
「は? ニューは家政婦ですよ? お掃除は? お食事やお茶のお支度は?」
たくさん食べて健康になっていただかないと!
あら?
体は健康でしたっけ?
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