第45話 最終報告書

 サキね、薫さんと夏帆さんに強く説得されて、やっと折れたみたいよ。


 でも、それって、本来はアンタが説得しなければならないことじゃないの? オトコとして。恋人として。ほんとうにサキのためを思うならばね。


 高校生で妊娠することがどれだけリスクを伴うことか。体力的にも精神的にもどれだけ大変なことか。母親としてのサキだけじゃなくて、父親としてのジュンにもどれだけ精神的、体力的な負担をかけることか説明されて、頑固なサキもやっとうなずいたみたいよ。


 アンタもよく考えてみなさいよ。一生懸命勉強してスポーツリハビリトレーナーになるんでしょ? そのためには、鍼灸術が必要なんでしょ? だから、大学の鍼灸学科に進学したいんでしょ? 咲が妊娠なんてしちゃったら、アンタだっておちおち勉強なんかしていられないんだから。いくら家に経済的余裕があっても、両親から援助してもらうなんて情けないと思わないの? お坊ちゃま育ちのアンタにはそういう感覚が薄いかもしれないけどさあ。


 夏帆さんだって、サキにすごい期待をかけているのよ。今妊娠されちゃったら困るみたい。コンビニのバイトやめさせて、サロンで助手として使っているの知ってるでしょ? サキには人の心を和ませる優しさと気遣いがあるから、彼女がいるだけでクライアントがリラックスするのよ。「まずは接客からおぼえなさい」って、夏帆さんが一生懸命指導している。彼女、美的センスもあるし、手先が器用だから、将来の職業はエステティシャンがピッタリだって言ってたわよ、夏帆さん。


 もちろん、アタシも知識と技術はすべて彼女に伝授するつもり。


 薫さんと夏帆さんが地元密着型の健康ランド建設を計画していること、知ってるでしょ? フィットネスクラブとスパをメインとして、そこに鍼灸院、ヨガ教室、エステティックサロンなんかのテナントも入れるんだって。


 アタシもサキもすでに戦力としてあてにされているの。このみも今、サキちゃんの実習のモデルしてもらっているのね。夏帆さんのプランにはこのみも戦力としてばっちり計算されているのかもしれないわ。なんてったって、みんな「牧村一族」だからね。


 アタシとサキ、卒業後はいっしょの専門学校にいくの。夏帆さんの指導だけでテクニックは十分習得できるって言うけど、やっぱり専門学校の卒業証書と資格証は必要だし。


 だから、今、サキを妊娠させないで。


 サキも、高校生で妊娠することの危険性をやっと認識しだしたところだから。


 でも、アタシ、本当にサキがうらやましいよ。もちろん、ジュン、アンタのこともうらやましい。


 コンドームの薄ゴムさえ、間に入ってほしくないんだって。アンタの特大オチンチンの形と体温、膣襞の一枚一枚で感じたいんだって。そんなこと言ってくれる女の子ってサキ以外にいるかなあ。


 アンタはしあわせ者なんだよ! それは、しっかり認識すること!


 ねえ‥‥‥、ちょっとヤリすぎじゃない? だって、あのまじめなサキが最近教室で居眠りしてるじゃない。疲れているんじゃないかな? 体育の授業だって、ちょっと走りにくそうなそぶりをしてたよ。膣に残っていた精液が垂れてくるからかな? それとも膣が痛いのかな?


 とにかく、アンタの特大ペニスは背の小さいサキには負担になりやすいことをちゃんと考えてほしい。それから、サキが性的に敏感で、イキやすい躰だってこともね。


 女子高生なら一日一回のオルガズムで十分だよ。それだけで夜はよく眠れる。でも、アンタたち──、サキからこっそり聞いたんだけど──、アンタが射精するまでサキ、5回くらいイっちゃうんだってね。イって、イって、イキまっくって、やっと射精。射精したあと、彼女、失神して一時間くらい意識が飛んじゃうって言うじゃない。それがほぼ毎日でしょ? 生理の一週間だけ除いて。──それって、大変だと思うよ。その結果が授業中の居眠り。


 アンタの方は、成績、絶好調だよね。中間テストの成績優秀者で張り出されてたじゃない! 


 放課後、速攻で帰宅し、サキとのセックスでストレス発散! 彼女がベッドで気絶している間、机に向かって猛勉強。アンタにとってはサキとのエッチが適度な運動。それに賢者タイムで脳みそがよく回転する。さぞかし勉強はかどるだろうね。そんな贅沢な高校生なんてめったにいないよ。


 9月の牧ノ頭(まきのこべ)神社のお祭りで、アンタとサキで「おむすび奉納」するんだよね。「おむすび」──すなわちセックス。もともとは童貞と処女の初まぐわいを神さまに奉納するのが秋祭りの目的だったって貞利博士が言ってたよ。「牧村一族」が集まって二人の「おむすび」を鑑賞し、性の喜びを人間に与えてくださった神さまを讃える行事。また、アンタたちのセックスが見れると思うとワクワクする。いろいろな体位を披露してよ! サキを何度もイかせてよ! サキを失神させて神がかりにして見せてよ! それからもうひとつ重要なこと──、今度は挿入部分がちゃんと見えるようにしてほしいな。アンタの特大のモノがサキの美マンを貫いてクチャクチャ掻き回すところを見たいの。お願い。神社の神さまが喜ぶように、激しく、いやらしく、ねちゃねちゃ掻き回してよね。サキって潮吹けるのかな? ねえ、奉納の時までふたりで一生懸命練習してさあ、本番で潮吹かせてみせてよ!


 このみがハンディカム買ったんだって。エロ本にはまっていたかと思ったら、次はマジックミラーののぞき見にはまって、今度は、エッチ撮影にはまってるんだって。それって明らかにアンタたちの初エッチの影響だよ。


 で、そのハンディカムでアンタたちの「おむすび奉納」、ばっちり撮影するんだってさ。このみってヘンタイだよね。‥‥‥いやいや、神事の撮影をヘンタイ扱いしたらバチが当たるよね。訂正。


 エヘッ! いずれにせよ、牧ノ頭神社の秋祭り、いまからとっても楽しみ!


 じゃあまたね。サキを大切にしてあげてね!


 ニャンニャーン!


(了)






 


 

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