怪奇面妖今昔奇譚
Bamse_TKE
第一譚:送り雀 其の壱
たんと伝わる 昔の話
嘘か誠か 知らねども
昔々の 事なれば
誠の事と 聞かねばならぬ
昔々とある山間の村に若い娘が一人、小さな小屋に一人ぼっちで住んでいた。
その娘は小さな体に愛らしい声を持ち、その姿は雀にも似た可愛らしさであったそうな。
娘が住んでいた村には電気も無く、山間を抜ける道は真っ暗で、道に迷ったり獣の住処に迷い込んだりする村人が後を絶たなかった。
気立ての良い娘は夜になると決まって、提灯に明かりを灯し、その提灯を持って村のはずれに立ち続けていた。
その娘の明かりは村への大切な目印となり、村人や村を訪ねる旅人はそれを目指して暗がりの夜道を進んでいた。
とある夜のこと、
それからというもの、提灯を持った娘がいなくなり、村人たちは夜の往来に苦慮するようになっていた。
しかしある夜のこと、夜道に迷った村人の前にぼんやりと光る雀が現れた。その雀はついておいでとばかりに、途方に暮れた村人の前を跳ねるように進み、それについていった村人はいつしか村に辿り着いていた。
それ以来その村に住む者や村を目指す者が道に迷ったとき、必ずぼんやりと光る雀が現れて、村まで案内してくれるという噂が流れた。
そのぼんやりと光る雀はいつしか、【送り雀】と呼ばれるようになり、村人や旅人たちは哀れな娘の化身として、夜道の大事な導き手として大事に崇めたという。
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