第31話―7騎士、残りの2人

「お久しぶりですね、ヴァン殿」


ヴァン。7騎士セブンスの一人で、その実力は折り紙付きだ。血の代わりによくワインを飲んでおり、様々なワインを求めては、世界を旅している。


「全く。アンタ急にいなくなったと思ったらまたワイン持って帰ってきたの?」


そう言って隣に来たのは、ジーンズパンツにパーカーを着た、クールそうな印象を持つ、狼のような耳と尾を持った女性。


「やあ、メロちゃんじゃないか。私の事を心配してくれたのかな?」

「なわけないでしょ。あと……誰がメロちゃんだ!!」

「いてっ」


そう言って、メロちゃんと呼ばれた彼女はヴァン殿の言葉を一蹴し、その頭を勢いよく叩く。

彼女はメロウ。彼女もまた7騎士の一人で、その身体能力は7騎士の中でもトップクラスだ。


「アンタも久しぶりね、ヴァイ」

「ええ、お久しぶりです」


そう言って彼女はニコッと微笑む。


「やはり、微笑んでる君は素敵だね。まるで女神みたいだ」


そう宣うのは、先ほど頭を叩かれたヴァン殿だ。


「あーはいはい。アンタの脳内はまるでお花畑ね」


そう言ってまたも一蹴する彼女。


「相変わらず、お二人は仲がいいですね」

「もはやちょっとしたギャグを見ているようだな」


姉上はそう笑いながら言う。

それに対し、メロウ殿は。


「ちょっ、誰がこんなヤツと仲が良いって!?こんなふざけたトンチンカン、こっちからお断りよ!」


ヴァン殿をボロクソに言っていた。

だが、ヴァン殿は効いた様子もなく、


「フフッ、そうやってツンツンした君も、魅力的だよ」


と、さらに口説いていた。


「それはさておき、メロウ殿は最近何をされていたのです?」


私がそう疑問を呈すと、彼女はやれやれといった様子で肩をすくめながら答える。


「こないだ、“境界”で色々あったでしょ?その後の対応に追われててね。人間むこうがわも未だに攻め入ろうとするもんだから、面倒くさいったらないわ」

「では、今まで“境界”に」

「ええ。ただ、ちょっと大事というか、私も信じられないことが起きたんだけど……」

「信じられない事、ですか?」


そして、一拍置いた後、宣言通り、信じられない事実が伝えられる。


「数日前、“境界”で、グリエド陛下……先代魔王陛下の結界が張られたわ。私は、それをカレン陛下に報告しに来たの」

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