第14話―〝絶龍刀〟
「―私との決闘で、その力を示して貰おうではないか!」
予感が的中してしまった。
とはいえ、魔界最強の剣士と名高いラグナ殿と剣を交えることができるのは、私自身とてつもないメリットとなる。
そう考えた私は、二つ返事で了承した。
「ええ、構いませんよ」
「うむ!貴殿ならそう言ってくれると思っていた!では……ディーレ、立会人を頼んでもいいか?」
「かしこまりました」
「………ッ!?」
只者じゃない……私は一目見てそう思った。
その所作に、立ち振る舞いに、隙がないのだ。
「おっと、紹介が遅れてしまったな」
彼女はそう言うと、ディーレと呼んだ彼を指差す。
「私の右腕、ディーレだ。こいつも中々やる奴でな」
そう言うと、ディーレ殿は騎士礼をする。
「ええ、一目見て解ります。私は、この方に勝てないと」
「ほう?だが、自分の実力を客観的に見れるのは凄いと思うぞ」
「光栄です」
「さて、紹介も済んだし、早速やろうか。ルールは……真剣で、降参した方の負けだ」
「かしこまりました」
そして、他の騎士たちは訓練場の脇へ移動し、私とラグナ殿、ディーレ殿は中央で立つ。
「では、立会人は私が務めさせていただきます。―両者、剣を抜いて!」
その言葉とともに、私とラグナ殿は右手を前に出し、剣を召喚する。
「深淵に溺れよ―影淵剣、アビスレイジ!」
私の召喚した漆黒の魔剣を見て、周りからおお……と感嘆の声が漏れる。
「ほう……。凄まじい業物だな。では、こちらも―」
そう言って、彼女も剣を召喚する。
「―目覚めろ、私と共に在りし龍よ。狂い咲け、今こそ覚醒の刻!
「…………ッ!?」
そして召喚された得物は、息を飲むほどに美しかった。軽く反りの入った刀身。そして刀身に見られる波文。極限まで無駄を削ぎ落とした柄。華美な装飾は無く、無骨なはずなのに、これほどに美しい剣があるのか、と不思議に思うほどだ。
「………凄まじい、ですね」
「だろう?私の自慢の刀だ」
「なるほど。確かに自慢できますね」
その言葉を最後に、私たちは集中する。
世界から音が消える。色が消える。視覚情報のみならず、五感全てをラグナ殿に向ける。
場に緊張が走る。緊張が最大限に達したと感じた、その時。
「―始めッ!」
その言葉を聞いた瞬間、私たちは地を蹴った。
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