第12話―新部隊設立
王城の玉座の間に私は転移した。
転移が完了すると同時に、陛下が走り寄ってきた。
「ヴァイ!レイティア!無事だったか!」
「ええ……何とか。〝魔女狩りの一族〟が現れて、正直かなりまずい状況だったのですが……」
「やはり〝魔女狩り〟が……。よくぞ無事に戻ってきた......!ひとまず客間へ行こう、レイティアをそこに寝かせて話を聞きたい」
「承知いたしました」
その後、客間にて、レイティアを寝かせ、部屋の椅子に腰掛けて話し始める。
「実は、あの時、姉上に大きな変化が」
「変化、とは?」
「姉上の眼が輝いて、魔法陣が浮かんでいたのです。奴は『きたよ、おめでとう』と、何やらおかしなことを言っておりました。ですがそのおかげで、奴を殺せたので……」
私が言い切る間も無く、陛下が目を見開き、私の肩をぐっと掴んできた。
「魔法陣だと!?ついに……ついに、発現したのか……“魔眼”が……」
「“魔眼”……ですか?」
そういえば、姉上も魔眼と言っていたような……と、思い出しながら陛下の話に耳を傾ける。
「うむ。魔力量が特に秀でている者に稀に発現するものだ。発現条件は人それぞれだが、大多数は感情の昂りに伴う魔力の高まりから発現する者が多いな」
「なるほど……では、過去にも魔眼を発現した者はいるのですか?」
「ああ。だが妾の知っている者だけでは片手に収まるほどゆえ、如何にその存在が稀なのかが解ると言うものよ」
「そうですね……」
故に、あれほどまでに強力なのか、と納得する。
「魔眼を発現してしばらくはうまく制御ができない。こちらで魔眼専用の眼帯を用意しておこう」
「そうなのですね……。何から何まで、感謝いたします」
「よい。お主らのおかげで妾の国への被害がなくなったのだ。これくらい、褒美にもならぬわ。……っと、そうだった、褒美の話をせねばな」
陛下はそう言うと、真剣な眼差しで私を見直す。
「此度の勝利、誠に見事であった。心から礼を言うぞ」
「いえ。勿体なきお言葉、感謝の念に堪えません」
「此度の褒賞なのだが、お主に、直属近衛騎士団長を任せたい。どうだ?」
それを聞いて、私は疑問に思った。
「近衛騎士団長は、ラグナ様がいるのでは?」
その疑問に対し、陛下はさもありなん、とばかりに頷く。
「この度、新しく団を設立しようと思ってな。ラグナに任せるのは、剣術科、そして両団の統括だ」
「つまり……、もう一つは、魔法科、とでも呼ぶべきもの、と言う認識でいいのですか?」
私の返答に、陛下はフッと笑う。
「話が早くて助かるな。まさにその通り、近衛騎士団、魔法科だ。お主には、この団長を任せたい」
「ですが、私で良いのですか?私よりも、姉上やサーリャ様の方が適任では?」
「そうしたいところではあるのだが………あの2人は基本的に自由奔放だからな……」
「………お察しします」
陛下と気持ちを同じくする時が来るとは思っていなかった。
「……そう言うことでしたら、謹んで、拝命いたします」
「うむ。お主の活躍、期待しておるぞ」
「は。期待に応えるよう、これからも精進して参ります」
「それと、レイティアにはお主と同等の地位を授けようと思っておる」
「……なるほど。ですが、軍を動かすほどではないと?」
その言葉に、陛下は少し呆れたような表情を浮かべた。
「……お主は本当に頭が切れるな。その通り、1人だが独立した部隊、という扱いになる」
「やはりですか。姉上のあの自由奔放さは、軍や部隊などで縛ろうとしても無意味ですから……」
「全くだな」
そう言って私と陛下は2人で苦笑する。
「正式な褒美は後日、式にて言い渡すとしよう。では、妾はこれにて失礼するぞ。レイティアとともにゆるりと休むといい。ご苦労だった」
「は。陛下のお言葉、心より感謝いたします」
「では、またな」
そう言って陛下は去っていった。
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