【4000PV感謝!!】魔女の姉の身の回りの世話をしていたら、いつの間にか近衛騎士団長に抜擢されていました。
夜刀神 遼
episode.01〝魔女狩り〟編
第1話―プロローグ・魔界ロゼルナ王国
この世界には隔絶された二つの次元がある。1つは人間界である聖界サザンクロシニアス連合王国。そしてもう1つは―魔族の住む、魔界ロゼルナ王国。これは、そのロゼルナ王国での、1人の物語。
「姉上、そろそろ起きてください!何時だと思ってるんですか!」
「むー……まだ寝かせろ……」
「そう言い出したらあなたキリがないのですから!寝るくらいなら私の魔法の鍛錬に付き合ってください!それと早く起きて着替えてください!洗濯ができないではないですか!〚
そう言って私――ヴァイは姉上、レイティアの布団を魔法で引き剥がす。
「あー!もっと寝たかったのに……」
――魔界ロゼルナ王国。ここは、聖界サザンクロシニアス連合王国、詰まるところ人間界と隔絶された次元にある世界。その昔、人間と魔族は和平を結んでいた。だが、そんな長らく続いていた平和を、破壊する者が現れた。その者たちは魔女狩りと呼ばれていた。その名の通り、魔女を見つけ次第捕まえ、火炙り、水責め……そのほかにも様々な拷問をし、幾度となく殺してきた。その度に我が先代国王、グリエド・リュ・ロゼルナ陛下は人間に忠告をされ、最終的にはその武威をもお見せになったにも関わらず、人間は、いや、一部の人間は聞く耳を持たなかった。見かねた陛下は、そのお力にて人間の国と次元を隔て、魔女狩り共から逃げおおせた、という歴史がある。そのため、魔女の末裔たる私たちには、少なくない因縁があるのだ。特に……我が姉上は。
――――――――――――――――――――――
私と姉上は移動し、森の中の大きくひらけた場所に来た。
「……さて!今日は何をするんだ?」
「では……たまには剣術の方でもやりましょうか。魔力練成や魔法ばかりだと体が鈍ってしまいますし、近接戦に持ち込まれると厄介なので」
そう言って私は魔法陣から二振りの木刀を抜き、そのうちの一振りを姉上に渡す。
「ふむ、いいぞ。私もたまには身体を動かさないとな」
私たちは相対し、剣を構える。姉上の正眼の構えに対し、私は半身で構える。
「ルールの方は……魔法は身体強化以外使用禁止、でどうですか?」
「面白い、いいだろう。では――そろそろ始めようか」
「……ええ」
お互いの雰囲気が変わる。世界から色が無くなる。殺気が立ち上る。身体強化によって知覚速度が限界まで高められている中、木の葉がひらりと舞い、地面に触れた――刹那。
私たちはほぼ同時に動き始めた。
先ずは横なぎ。下に沈み避けられる。そこから姉上の斬り上げ。宙返りで後ろに下がりながら避ける。そこから突進しつつ右から袈裟懸けに斬り下ろし。受けられ、鍔迫り合いに移行する。
「楽しそうだな、ヴァイよ」
「そういう姉上もいい笑顔です」
「そうだな……木刀での模擬戦で、ここまで白熱する戦いは久方ぶりだ。実に心が躍るよ」
「そうですか。では、もっと楽しませて差し上げましょう!」
「むっ」
そう言って私は瞬時に腕の力を抜く。
――もらった!
勝利を確信した私は、首筋を目掛けて袈裟がけに剣を振るう。その瞬間――
姉上の、魔力が、消えた。
「――ふむ、掴めたぞ」
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