リアル・インテンション

138億年から来た人間

第1話 遺書

「産まれてから今に至るまで私には幸せが訪れませんでした。

綺麗な色の小鳥を見ても、真っ青な青空を眺めても、木々の息吹を感じても、もう何もかもが虚しくて哀しくて意味を見いだせなくて・・・。

貴方と出逢い、恋をして、結婚して、子供が出き、きっと私にも人が言うような春が来るのだと期待をしていました。

でも、私の冬は深かったのです。

そこに春が訪れる事が出来ない程、冷たく冷え切った氷の塊が出来たに過ぎなかったのです。

今思うと理由はあったのです。

私に幸せが訪れない本当の理由。

それは、私が人を殺しているからなのです。

そうです。

私は殺人犯として服役していたのです。

刑期を終えても贖罪は続きます。

被害者家族へのお詫びは尽きる時がありません。

謝罪は一生続きます。

私に幸せが訪れてはいけないのです。

綺麗な小鳥も真っ青な青空も、木々の息吹も、被害者様の為にあるのです。

恋も家族もその方々の為にあるのです。

私に幸せが訪れてはこの世の仕組みが入れ替わり、天と地が逆さまになり、神は閻魔と化してしまう。

そんなことが許されるでしょうか?

赦される筈がありません。

だから、私は、不幸で居なければならないのです。

私に幸せを届けようとしてくれた貴方。

貴方にも不幸を与えてしまいました。

ごめんなさい。

ゆうちゃんをお願いします。

あの子は私の子ではありません。

貴方が産んだ子です。

だから私には関係がありません。

どうか幸せに暮らしてあげてください。

お願いします。

最期に私はもうこの世には居ません。

失ったものも何もありません。

私は被害者様の元へも逝けません。

地獄で苦しみとともに過ごしていきます。

私を愛してくれた貴方、有難う。」




妻の遺書の全文だった。

彼女は私の初恋の女性を殺した。。

私は、彼女に復讐するつもりだった。

私の全てだった人、眞田さなだユカリの為に・・・

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