第13話 異変
「市長…」
「ああ、PTA会長の。どうかしましたか?」
「さ、最近うちの子が火遊びをするようになったんです…」
「それはそれは、しっかりと子供は見ていないと…」
「違うんです!ちゃんと見ていましたし、病院にも見せました。うちの子の指から小さなマッチのような火が出せるところを」
「………」
「マジックか何かだと思おうとしたのですが余りに不自然で…私達、どうしたら良いのか…」
「……取り敢えずはその子に使ってはならないと言い聞かせて下さい」
「はい…」
「まだ子供ですから善悪の判断が付かないでしょう。それに普段の生活に支障は無いはずです。
身体にも異常は無いはずです」
「なにか知ってるんですか!?」
「まだ、教えられません。ですが何時かきちんとお伝え出来ることを約束します」
「そ、そうですか。分かりました…」
「ちなみに、お子さんは火を出す時になにか言っていましたか?」
「え?あぁ『火魔法』と…」
「(やはり)」
「え?」
「いえ、独り言です。どうかお気になさらず」
「分かりました。それでは私は帰ります」
「はい。お気を付けて」
PTA会長の麗子が園を出ていく。その後、園の関係者に挨拶をした後堂本市長も園を出る。秘書の運転する車の中で堂本は考える。
(…7年前、7年前から産まれた子供が無からなにかを生み出す事例が増えている。
その力の使用方法は特定の単語の発言。
もしくは思考内で発動を念じること。
これまでに発見されている単語は『火魔法・水魔法・風魔法・土魔法・光魔法・闇魔法』の6つ。そして何度も使用すると眠くなる。
おそらく体内の何かを使用することで発動しているであろう『魔法』。
更に国から伝えられた情報では、アメリカからの情報提供で謎の
世界はどうなってしまうのか…)
「堂本さん!」
「なんだい、騒がしい…」
「防衛大臣から緊急の連絡が!」
「ふむ、なんと?」
「読み上げます。
『東京のある廃病院の中に動画配信者と呼ばれる男性達が肝試しに行った際に謎の洞穴、
通称「ダンジョン」と思わしき穴を発見。
中から出てきた怪物により負傷。
すぐに病院に搬送されたが、その負傷者がダンジョンのことをそのまま伝えると厄介なことになると考えて警察へと届け出された。中に入った者はその人物だけだが、その他のメンバーにも情報を聞き、今の世界の情報を伝え…』」
「なんだと!?国家機密だぞ!?国家機密を一般人に伝えたのか!?」
「堂本さん、落ち着いて下さい。それよりも大事な事があります」
「これよりも大事なことなどあるか!機密を伝えることよりも大事な事だと!?
………ふぅー。すまない、教えてくれ」
「はい。
『今の世界の情報を伝え、
魔法のことを知ったダンジョンに入っていない、近づいただけの者が「火魔法」と呟いた際に火魔法が発動した。このことは国家機密であり、その者らには政府への協力を申し付けてある。』
とのことです」
「なん、だと…」
(これまでは7年前から産まれた赤子達のみだと思っていたのに、ダンジョンに近づいただけでその力を得るなんて……。
ダンジョンを巡り暴動、最悪の場合戦争が起こる可能性も視野に入れる必要があるとは…。
幸いその動画配信者とやらが常識ある人物で助かったが今後、この日本はどうなるのか…)
「今の市民達が、子供達が、そして今後産まれてくる赤子達が明るく、楽しく過ごせるために、この人生を費やそう。着いて来てくれるか?」
「もちろんです!」
幼稚園と世界の異常編 完
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次話は登場人物紹介と今までのステータスを載せますよ!
その次の章は現在執筆中ですので、気長にお待ちください!
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