32. 『ラウルと吸血鬼』1巻/『見える子ちゃん』11巻

 原作付きの前作『山、田畑、時々レイヤーお姉さん』は、コスプレをテーマに据えた素晴らしく尊いおねショタでした。満を持して世に送り出された今作は……。



◆『ラウルと吸血鬼』(1)そのぐち中


 美ショタジジイ×ガチムチ青年の擬似親子BL(暫定)という業の深い代物です。ありがとうございます。


 主人公は吸血鬼ロゼと暮らす孤児の青年ラウル。1巻の前半では、二人の吸血鬼退治と甘い日常とが交互に描かれます。


 何と言っても、ロゼの少女と見紛うほどの美貌が曲者です。♂なので裸もOKと言わんばかりに、初っ端から色っぽいカットやスキンシップの嵐。ラウルと読者の性癖が順調に狂わされていきます。ありがとうございます(二回目)。



 育ての親であるロゼはラウルを溺愛、一方でラウルもロゼに対して尊敬以上の感情を抱いているのは明らかなのですが、素直に両想いとはいかないところが、もどかしくも微笑ましくて尊みを感じます。


 後半となる第6話では、ロゼの弟・ルージュも登場します。これがまた長髪長身に中性的な容姿、そして重度のブラコンという癖強キャラ。兄の身柄を賭けてラウルに勝負を挑みます。愛憎渦巻く本巻の見どころをお見逃しなく。




◆『見える子ちゃん』(11)泉朝樹


 百合の波動を感じる(個人差あります)ホラーコメディ。


 前巻までの波乱を乗り越え、みちるちゃんもいつメン入り。謎の触手は「多少」大人しくなった模様。百合園を見守り微笑むぜん先生萌え。ショタコン悪霊も姉弟愛&親子愛(&おしるこ)の前にはかたし。


 そして今後のキーパーソン・セトさん登場。ロムさんをも上回る力と情報網、そして霊的な存在に一切容赦しない冷徹な精神に不穏な気配がふくれ上がります。



 いつメン集合のラムラビ祭り。その道すがら、電車の人(人じゃない)再登場。唐突に始まる悪霊大決戦の最中、みこ×みちるルートが着実に進展。ぶつかりおぢ許すまじ……! けど、みちるちゃんはステイ。


 その後、本会場ではユリアちゃんのトラウマ再発と克服。霊感のことで除け者にされた過去を解きほぐしていく過程と、降って湧いた意外な解決法に驚き。感謝の気持ちを忘れないハナちゃん、いつもながらいい子すぎて泣ける……。



 みこハナ初詣&カラオケ。お友だちはSOクルーなんですか? 本作の救世主・アナコンダ穴熊あなぐまさんも映像出演。すっかりなごんでいたところにお出しされるサスペンス。みこちゃんとセトさん初邂逅ははたしてどうなる……?



 おまけはみちる姉・よう視点。ぜん先生との相性は良さそうですね。真っ直ぐでひたむきなところとか(婉曲表現)。

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