29. 『淫獄団地』7巻

 全編を覆う変態ギャグ描写に目をつぶれば、手に汗握るSFクライムサスペンス・アクション……と言えなくもない怪作です。



◆『淫獄団地』(7)搾精研究所/丈山雄為


 ネザコ×リズの百合味がかぐわしい過去編。走れメ□スに混入するワザ◯プジョルノを始め、ツッコミどころには事欠きませんが、訓練された読者はこのぐらいでは動じません。


 明かされる共振石と変態人妻の起源。後のS級3人が邂逅かいこうを果たす場は、搾研バースではおなじみのアンゴルモア憂国大学。教授「なんだとぉ……」ノルマも無事回収。実家のような安心感を覚えます。



 ネザコたちの別離と再会、リズ結婚で脳破壊、直後に脳破壊(物理)。絶望の淵に立たされたネザコに忍び寄る悪魔たちとの契約が、今日まで続く混沌を生み出した事実が突きつけられます。


 しかし、母リズ復活の生贄として捧げられたヨシダもまた、S級人妻へ対抗するために、ライコウという悪魔との契約を強いられます。

 敵の敵は味方となるか。遠隔人妻兵器と化したヨシダは、ライコウの策でハイバラをあざむき仕留めます。いまきわに浮かび上がるハイバラ→カンザキへの想いが切ない。



 続いてライコウ in ヨシダはシラカゲを襲撃、反逆の戦力として抱き込むと、その足でカンザキ夫妻のもとへ。ここに来て判明する憂国商事と公安警察とのつながりには驚愕です。


 ヨシダに新兵器ボルタックスーツが適合し、反撃の狼煙を上げる味方勢力でしたが、直後早くも亀裂が。ライコウ「ネザコやカバネみたいな頭のおかしい変態」どの口が言うのか……。


 酔ったカンザキ暴走で大混乱も、落ち着きを取り戻した決戦前夜。ヨシダの振り返る激動の二日間がなかなかにヒドい。「団地」とは一体何なんだろう……読者こっちが聞きたい。



 一方、カバネ率いる反社組織では、お役御免となったかに思えたヌマジリ&キリタニがS級人妻に改造され、A級・B級人妻たちも動員されるかのような不穏な動き。さらには、埋葬されたはずのハイバラまでもが……? 次巻へ続くスペクタクル。

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