彼の日の約束
イオ・ロゼットスキー
第1話
18になった夏、俺は幼馴染の彼女に夏祭りの花火の下「ずっと好きだった...だから、これからも俺とそばに居て欲しい...付き合ってくれ!」心の底から搾り出した言葉だった。
「ごめんね、明日ね...私遠くに引っ越すんだ...」
幼馴染の心無しか淋しそうな横顔を夏祭りの締めの花火が彩る...。
いつもそばにいるのが当たり前だった彼女からは初めて聞かされる突然の別れ...。一緒に家のそばの公園で遊んだり、学校の終わりに近くの川に涼みに行ったりしてた。いつも笑顔だった彼女...そんな彼女が見せる初めての顔。気づけば「でもよ、また...年末にでも会えるんだよな!?」縋るような思いだった...。
それを聞いて尚彼女は顔を俯かせたまま黙ってた。そして、しばらくして小さく口を開く。「うん、きっとね...」顔をあげた彼女の笑みは今にも崩れそうだった...。
そして月日は流れ...年末になった。
彼女は"帰ってきた"...白い壺になって...
「おい....嘘だろ...!?嘘だって...言ってくれよ...いつもみたいに笑っててくれよ...」気づけば頬を涙が伝っていた。
聞けば彼女は癌だったんだそうだ。夏休みの少し前から体が痩せていった...俺の目をこれ以上騙せないとわかった彼女は、隣町の病院に入院して...亡くなった。
彼女の幼いとも言える体は癌の侵食をあっという間にうけてしまって、治療が間に合わなかったそうだ...。
俺が、もっと早くこの思いを伝えていたら、彼女の最期に立ち会えていたのではないかと...俺は彼女の墓前で独り、涙を溢した...
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