9 親友だからこそ 中
ゲームセンターの駐車場に設置されたベンチ。
あれだけうるさかった店内とは打って変わり、出入りする車のエンジン音位しか聞こえてこないその場所に陣取った俺達は、改めて先程の続きを始める。
……果たしてこの場所にまで来たのは静かな場所に移動したかったからなのだろうか?
実際それもあるけど、多分それだけじゃ無くて。
俺はこれから伝えたい事を伝える為に、ほんの僅かでも心の準備をしたかったのだと思う。
渚の考えている事を聞き出したくてあの話を振ったのに、自分がこういう回答をする想定していなかったから。
それに、自分でも自分の事を分かり切っていなかったから。
だけど、ほんの少し空いた時間が、俺に言葉を紡がせてくれる。
「で、女だった渚をどういう風に見てたか、だよな」
「うん……態々外まで出てきたって事は、はぐらかさずに教えてくれるんだよな」
「まあ……そのつもりだよ」
全部、全部伝えるつもりだ。
こちらから促して、言わせてしまった以上に、俺が隠し事をするなんて事はあってはならない。
少なくとも秋瀬渚にだけは、そんな事はしたくない。
だから渚に伝える。
「……正直、滅茶苦茶可愛いと思った」
多分今目の前に鏡が有れば、俺の顔は相当赤くなっているんだろうなと思う。
それだけ面と向かってこうした好意をぶつける事に慣れていない。
「正直可愛すぎてドキドキしぱなっしだった。今日一日お前の事しか考えてなかったもん。だから……お前と一緒に居られてる優越感みたいなのも、凄く有った。今日みたいな距離感で接してくれたのも、困惑はしたけどマジで嬉しかった」
その位、頭の中が秋瀬渚という女の子で一杯だった。
「あはは……滅茶苦茶褒めるじゃん」
軽く頬を掻いてから渚は言う。
「そっか……うん、良かった。そう思ってくれていて……正直安心したよ。そういう風に映ってくれてたんだって……でも、そういう事だったら。良い返事、聞けるのかな」
そして渚は俺の目を見て言う。
恥ずかしがるように、そして緊張するように頬を赤く染めて。
「教えてよ。さっきさ、明人の言葉に乗せられて私実質告ったみたいな感じになってる訳だし……その、答えをさ」
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