ド屑たち。

相対音感

第1話

注:加奈視点


ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ私と麻美ちゃん以外、誰も居なくなった放課

後の教室。私は、麻美ちゃんからお腹を殴られ

る。

「ッ!? うぅ...」

‌ ‌あまりの衝撃と痛みにより、叫び声さえあげ

られず、私はただお腹を押さえながらうずくま

り喘ぐだけだった。

ㅤ顔を上げると、まだ殴り足りないのか自分の右手を見ながら不満足げな顔をしている麻美ちゃん...の純白のパンツが。彼女は立っているし制服でスカートを着用しているので、うずくまっている私が顔を上げると、自然的に目に入ってしまうのだ。つまり私は何も悪くない。ラッキースケベだとニヤニヤなんかしていない。

「なにヘラっヘラ笑ってんだよ!」

ㅤ麻美ちゃんの足が私の顔面に飛んでくる。「うッ...」っていう声が漏れ出てしまうが、そんなことよりニヤニヤしてたんだ。私。別にいいけど。

「もう...やめて...!」

ㅤ捻り出すように出した私の言葉はもちろん本心ではない。でもこう言うと麻美ちゃんは、

「『やめて』? そんな言葉でやめるわきゃねぇーだろ。『やめてください』だろーが!」

「うっ!」

ㅤ今度の蹴りはお腹だった。胃の部分を強く蹴られた為、オロロロロという、喉の音か私の声か分からない音を出しながら、軽食として先程食べたパンが私の口から胃液と共に出てきた。

「チッ、きったね。お前が掃除しとけよ」

ㅤそう言いながら麻美ちゃんは教室から出ていった。もう満足したのだろうか、それとも嘔吐物にまみれるのが嫌だったのか。どちらにせよ、麻美ちゃんに命令されたことが嬉しく、私は自分でも分かるほどニヤニヤしながら掃除をしたのだった。

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