第8話 衛士は獅子たちを出迎える
街道を
昼も夜も宿場で一休みした。乗り手の三人の体力ではなく、
休憩中は三人ともそれなりに積極的に人々と話をした。これから助ける
そうして、夕方。クチバシから舌をだらりと垂らして、
「ご足労感謝します。アバスカル衛士隊所属、ラドミラと申します」
三人を出迎えたのは、ハンブリナの衛士たちではなく、ラドミラだった。ババーコヴァーの衛士隊から三人が発ったと聞き、ミラグロスとクロリンダの
「ご丁寧な挨拶、感謝する。
「中でお茶でも飲みながら作戦について説明をしたいところではありますが、日に日に
ハンブリナは、大きな村と小さな町のどちらを使って説明すればいいのか悩む規模の町だった。関所へ向かう人が一泊するが、必要なものはババーコヴァーでそろえるし、
町の
「バルドゥィノさんの話では、
先導するラドミラの後ろを、三人はついて歩いた。
「戦闘をするのに問題がない程度の広さがあると思いますが、どうでしょうか」
その広場は、何本かの木々が切り倒された跡があった。切り株自体は、新しいものではない。レオシュは進み出ると背負っていた斧を振り回す。その斧の及ばないくらいの距離を取って、オレクは歩く。メトジェイは良さそうな切り株を見つけると、座った。
「問題はなさそうだな」
「うむ、地盤もしっかりしているし、広さもおそらくは問題なかろう」
ラドミラとメトジェイは、
「決戦は、今夜かなあ」
「早ければ今夜、遅くても明日の夜には、というところでしょうか」
「
「ここに、テントを立てます。その中にいてもらおうかと」
「音を聞かせるのは、よくねぇんじゃねぇかなあ」
「しかし、近くにいるしかないんですよ。
過去、
ラドミラは、木々の間から空を見上げた。まだ、陽は沈まない。陽が沈んでからの決戦は厄介だ。こちらが不利になる。奴らは、闇夜でも問題なく見えるらしいのだから。そもそも、あの切り離された頭部で見ているのかもわからない。その辺りを教えてくれる親切な
「長旅でお疲れのことと思いますが、あちらはこちらを認識したようですし、物語を終わらせましょう。今回選ばれた方のお家へ、ご案内いたします」
ラドミラの言葉に、三人は頷いた。
「自分はここに残るねぇ」
「あいよ。まあ、町の中で戦闘にならないことを祈っててくれや」
メトジェイは袋から何やら色々取り出して、ラドミラたちを見送った。シャールカから渡された護符を設置する必要があるのだ。
「ええと、こいつがここかな」
例えば周りの木々に被害を出さないための呪符。それは発動すれば
シャールカから貰った呪符の設置が終わるころ、ハンブリナの衛士が二人連れだってやってきた。
「テントを設置させて抱きます」
「あ、お願いしまーす」
一人用の小さいものかと思ったが、五人は入れるサイズであった。母と娘と、それから父とラドミラとメトジェイが入ることはできそうだった。メトジェイはレオシュとオレクが勝つことを信じて疑っていないし、おそらくラドミラも疑っていないだろうが、指名された家族はそうでもないだろう。もしかしたら、レオシュに怯えるかもしれない。慣れないとレオシュ、怖いし。
戦いの場は整った。あとは、
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