1577年part1 明智光秀の反乱

1577年、信行と信忠は京都の屋敷でお茶を楽しんでいた。信行にとって、信忠とのこのひとときは、忙しい日々の中での貴重な安らぎの時間だった。信忠は叔父である信行を慕っており、彼に全幅の信頼を寄せていた。その日は、戦国の荒波の中で一瞬の平穏を味わう日になるはずだった。


しかし、その安らぎは突如として破られた。明智光秀が計画した反乱が、信行の予測を超える形で実行に移されたのだ。光秀は周到に準備を重ね、織田家の守りが最も手薄になっている瞬間を狙って攻撃を仕掛けた。信行は転生者としての知識から光秀を警戒していたものの、ここまで早急に、そして大胆に行動するとは予想外だった。


屋敷が攻撃を受け、状況が一変した。信行は即座に光秀の企みを悟ったが、すでに遅かった。屋敷は混乱に包まれ、信行と信忠は一気に窮地に追い込まれた。彼らの護衛は次々と倒れ、信忠を守ろうとする信行の目の前で、信忠は敵の攻撃を受け、命を落としてしまった。


信忠の死は信行にとってあまりにも大きな衝撃だった。彼は自らの力の限界を感じ、無力感に打ちひしがれた。転生者としての知識も、未来を予見する力も、この惨劇を防ぐことはできなかった。光秀の反乱は、信行の警戒心をもってしても防ぎきれなかったのだ。


信行もまた、命の危機にさらされた。混乱の中、明智軍の兵士たちが次々と屋敷に突入してきたが、そのとき、柴田勝家が駆けつけた。勝家は信行を救い出すため、命がけで敵兵を押し返し、なんとか信行を屋敷から脱出させることに成功した。


しかし、信行は重傷を負い、意識を失ってしまった。勝家は必死に信行を守りながら、なんとか安全な場所へ彼を運び込んだが、その過程で信行は生死の境をさまようことになった。信忠を失った悲しみと、自らも命を落としかけた絶望が、信行の心を深く蝕んでいた。


京都では、光秀が着々と支配を広げていった。信行を討ち取ったと信じた光秀は、織田家の象徴を打ち倒したと確信し、自らの力を誇示するように京都を制圧していった。しかし、その背後には、光秀を巧みに操る存在がいたことに、光秀自身はまだ気づいていなかった。


一方で、勝家に助け出された信行は、命の灯火を繋ぎとめながらも、意識が戻ることはなかった。彼の心には、信忠を守れなかった後悔と、光秀に対する激しい怒りが渦巻いていた。信行が意識を取り戻したとき、彼はどのような決意を新たにするのか、それはまだ誰にもわからなかった。

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