王の道(KINGLORD)

第1話 王の器


「失礼します、マイロード。今後のご予定ですが、午前中は貴族との商談、午後は各領地の視察になっております。」


「あぁわかっている。クロノス」


「マイロードいかが致しましたか?」


「いや、少し昔のことを思い出していたところだ。やっとここまで来たんだと思ってな。」


「そうですね。もう5年前の事ですか、まだあの時のアギト様は王の器としては全然でしたからね。」


「あぁそうだな。」




5年前 黒街(ブラックストリート)にて


「このクソガキ、またうちの商品を盗んだな!」


「うるせぇ俺じゃないって言ってるだろうが!!」


「じゃあ誰が盗んだって言うんだよこの黒街のガキがよ!」


「まぁあの子またレイラさんとこの物盗んだそうよ」


「やっぱり黒街の子はダメなのね」


「今回はしっかり落とし前付けてもらうからな!」


「な、だから俺じゃないって言ってるじゃないか!」


「だからお前以外にそんな事するやついないって言ってるんだよ。」


「その子じゃない、レイラ。君の所の商品を盗んだのはこの男だ。」そう言って少年を庇った男の手には盗みを働いたという1人の男が引きずられて来た。


「こいつがレイラのとこの果物を盗んだ犯人だ。」


「本当ですかい?シエラさん」


(シエラ、聞いた事がある。この人はこの銅街、ブロンズストリートの騎士団緋色の騎士団副団長またの名を狂犬のレイラという人だ。)


「この物があんたの店の物を盗んでそこの黒街の子に冤罪を押し付けたと証言した。さぁその子を離すんだ、レイラ。」


「は、はい。今すぐにでも」


「アギト後で話がある。先に家に戻っていなさい。」


「はい、わかりましたシエラ様。」


「よし、さぁお前らさっさと散れ。これじゃ歩行者の邪魔だ。」

その一言で集まっていた街の人達は各々去っていった。



黒街、銅街の端にあるスラム街の呼び名である。

この黒街に住む住人は役60人その中で子どもは45人と大人の数より子どもの数の方が圧倒的に多い。

なぜならこの黒街は両親が自分の子どもを育てられずに捨てられた子どもが半数を占めているからだ。

ここで育った俺はこの世界の住人じゃない。


俺は元々地球の日本という国の東京に住んでいた。

元の世界のことはあまり思い出したくない。そんな事を考えていると家に着いた。家と言ってもボロボロの廃墟みたいな所に住んでいる。


「シエラさんが来るまで何をしていようか。」そんな事を考えていると

突然頭に衝撃を受けた。俺を殴った犯人の顔を見た瞬間俺は驚愕した。俺を殴ったのはシエラさんだったそして殴られたのではなく魔法によって地面に叩きつけられた事に気づいた。


「ど、どうしてで ですか。シエラ 様」


「どうして?それはお前がもう用済みだからだよアギト」


「用、済み?」


「あぁお前は銅街で盗みを働いたと言う罪で落とし前をつけるように言われていた。そんな中この俺がスラム街のお前を助ける、それで俺の評価が上がるそのおかげで俺は緋色騎士団の副団長まで上り詰めた。だが、最近は俺の自作自演では無いかと噂するものが出てきた。」


「だから俺は用済み なんですね。でも、俺を殺したらシエラ様の評価を上げることはできなくなりますよ?」


「そんな物はどうでもいい。なぜなら俺はDKに入ることにしたからな。」


「DK?なんなんですか?それは」


「お前は知る必要はない。アギトじゃぁな」


やばいこのままじゃ殺される。そんな時一面真っ白な世界に包まれた。


(力が欲しいか )

そんな声がどこからか聞こえてきた。


「あぁ欲しい。なんでも俺が思うままにできる力が」


(よかろう汝名前は)


「アギト」


(アギトよ汝の願いしかと聞き届けた。これにより汝に王の器としての契約を結ぶ。)


(王の器?)


(アギトよ貴様にこの力が使いこなせるかどうかは自分次第だということを忘れるな)


(お前は誰なんだ。)


(我の名は使徒 サバトだ。)


そして使徒と名乗るやつの話が終わると身体に激痛が走った。

そして激痛が収まった時白い霧が解けていた。


「な、何をしたアギト!」


「うるせぇ」


「な、何?アギト貴様いつからそんな口を聞くようになった。」


「お前もう黙れ。」

剣が振り下ろされるのと同時にアギトの魔法が炸裂した。その瞬間アギトの家が木っ端微塵になった。


「これが王の器としての力か。」


「あ〜そういえばDKについて聞くの忘れてた。今からでも聞けるかぁ?木っ端微塵になってるから無理だよなぁ〜」


こうしてアギトの王の器としての第一歩目の道を踏み出していった。







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