第7話
「ん、…泰雅さん…」
なんて、まだここにいるわけないか。
家に帰ってちゃんと寝れたかな。
私のせいで全然寝られなかっただろうな...。
仕事で忙しいから、逢いに来るだけでも大変なはずで、それを分かってるのに一緒に寝て欲しいなんて。
久しぶりに会えたのが嬉しくてついわがまま言って、困らせてしまった。
泰雅さんはお仕事中だろうか。
連絡が来てるかもしれないと思ってメールを見てみたら、
"ぐっすり眠れた?"
って、私の心配ばっかり。
泰雅さんの優しさに、心が温かくなった。
"はい。私のせいで大事な睡眠時間を奪ってしまってごめんなさい"
そう打つと直ぐに電話がかかってきた。
「も、もしもし」
声が震えてしまう。
「もしもし。おはよう」
泰雅さんの声だ…
心臓がドキドキして、思わず携帯を握りしめた。
「お、はようございます…昨日は遅くまで付き合わせてしまってごめんなさい」
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「謝らないでよ。陽菜ちゃんに一緒にいて欲しいって言われて嬉しかったよ?それに、可愛い寝顔も見れたし」
泰雅さんの言葉に、顔が赤くなるのを感じた。
「泰雅さん…」
今だって、落ち込んでる私のために電話かけてくれたんだろうな。
「あ、そうだ。今週の土曜日空いてる?」
「空いてますけど」
「俺の家でデートしない?」
私たちが付き合って初めてのデート…!
泰雅さんの提案に、心が躍った。
「したいです!」
嬉しすぎて食い気味に答えちゃった。
「良かった。あ、陽菜ちゃんって動物アレルギーじゃないよね。ほら、俺の家ポチがいるから」
一度だけ写真を見せて貰ったことがあった。
「アレルギーじゃないです。むしろ早く会いたいぐらいです」
ふわふわの茶色い毛に覆われていて、目がくりくりですごく可愛いかった。
ポチに会えるの楽しみだな。
「もしかして、俺ポチに負けるのかな」
「そ、そんなわけないじゃないですか!」
慌てて否定した。
「ふふ、冗談だよ」
泰雅さんの笑い声に、心がほっこりした。
「早く土曜日になってほしいなぁ…」
「そうだね。その時は...ね?」
泰雅さんの言葉に、期待が膨らむ。
その時は何なんだろう?
「はい!楽しみにしてます!」
「ははっ。意味分かってなさそうだなぁ。そういう所も可愛いけど」
泰雅さんの言葉に、少し恥ずかしくなった。
どういう事...?
私が知らない何かがあるのだろうか。
まぁ、当日になったら教えてくれるだろうし、気にしなくてもいっか。
朝から泰雅さんと電話できて幸せな気持ちでバイトに来たのに…。
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