第3話
という訳ではなく、いつも通り同じ時間に起きて、大学に行って、カフェでバイトして、そして家に帰って、メイク落として寝て...その繰り返しで
白川さんもお仕事が忙しいのか、メールのやり取りをするだけで、それ以外は何もなかった。
付き合ったからと言って、特別何かが変わるわけではなかった。もっと色んなところに行ったり、寝落ち電話をしたりするものなんだと思っていたけど…
これが当たり前なのかな、付き合ったことないから分かんないよ。
だけど、寂しい。白川さんに会いたい。
あれから一週間経つのに何も進展がない。
白川さんの声が聞きたい。
…電話してもいいかな。
いつでも電話してって言ってくれて、嬉しかった。
だけど、迷惑じゃないかなって、白川さんは社会人で私と違って忙しいのに、白川さんの時間を奪ってしまっていいのかなって...
なかなか電話をかけれずにいた。
うん。
やっぱり、そんなの駄目に決まってる。
また今度に...
「あっ、」
間違えて電話かけちゃった。
急いで切らないとっ、
「もしもし?」
「も、もしもし...」
白川さんの声、久しぶりに聞いた。
やっぱり落ち着く。
「…陽菜ちゃん?こんな時間にどうしたの?何かあった?」
「あの、」
ごめんなさい。電話したくて、でも迷惑かけたくなくて...って、葛藤してる時に間違って押してしまったんです...
なんて言えるはずがない。
「ん?」
「えっと...」
どうして寂しいって、会いたいって素直に伝えられないんだろう。
「慌てないで、陽菜ちゃんの好きなタイミングで話してくれればいいから」
「…ごめんなさい、」
私の我儘で、白川さんの時間を奪ってしまって。
「どうして謝るの?」
「...さ、寂しくて、我慢できなくて、電話しちゃ
いました」
「…」
何も言ってくれない。
やっぱり引いちゃった…?
「こ、ごめんなさい。困らせるって分かってたけど、どうしても伝えたくて、えっと、お仕事で疲れてるのに、わがまま言ってごめんなさい」
「…」
さっきから、どうして何も言ってくれないんだろう。寂しいぐらいで電話するのかって呆れた?それとも怒った?
「し、白川さん」
無かったことにしてください。
そう言おうとした時だった。
「はぁ、」
顔が見えないからどう思ってるか分からない。
だけど、このため息はきっと、面倒臭いと思ってる。
「ご、ごめんなさ」
「あ、ごめん。そうじゃなくて、もう...可愛すぎだよ」
「え?」
可愛い…?
「そんなこと言われたら、今すぐ会いたくなっちゃうでしょ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます