普通の高校生、VTuberやってます！

第1話 レピドライトの石言葉

「キラキラしたことやってみたーい！」

私、今野（こんの）るなは習い事や部活などに一切所属しておらず

毎日、学校から帰ってからが暇なのである。

最初のうちはスマホをいじったりして時間を潰していたのだが、

それも飽きが廻ってくる。

何もしないまま毎日を過ごしているうちに

人生に華がほしいなぁ〜なんてことを思っていた。

いつものようにスマホをいじっていると、

Vtuberとやらの自分のアバターを使って配信をするというコンテンツを見つけた。

それを見た第一声は

「かわいい〜!!」

可愛い自分のアバターで配信できるなんてチョー素敵！

Vtuberの虜になってしまった。

そしてそれは、私の”やってみたい”に変わっていた。

「なんかいい感じの事務所が募集かけてないかなぁ」

なーんて探してみたら

『”smile live”2期生募集中！』

……これだ！

smile liveは約半年前くらいに結成されたVtuber事務所だ。

早速募集しますか...。

『自己PR動画を作成してこちらまで』

と、リンクが貼ってある。

ナルホド。アピールポイントを動画にしろと．．．。

フンッ！こーゆーのは得意分野だ！

と、いうことで、早速どんな事言うか決めよー！

3日後…。

PR動画は流行っている歌の替え歌で作ろうということにした。

そして、撮りますかー！

とまで言ったところまでは良かったものの、緊張してまともに歌えない。

内容を決めるのは楽しいのですぐに決まったし、

自分のキャラ感も自覚があるので、すぐに終わった。

だけどやっぱりなぁ．．．。

プルルル．．．プルルル．．．

友達から電話がかかってきた。

「ねぇ、今から遊ばない？」

気分転換でもしたいなと思っていたので丁度いい。

友達と遊んでいると、自分の素面が自然と出る。

何気ない日常がとっても楽しい。

なんだか、元気が出てくる。

心の中の自分に引っ叩かれたような感じがした。

迷ったり、テストで爆死したり、黒歴史作って醜態晒してきたり

して、今ここにいるんだから。そーんな、PR動画の撮影くらいで

緊張してたらダメだろ。

ちょっと自身がついた気がする。もう何を気にして迷ってたかなんて

忘れてしまえ。

今までみたいにぶっ飛んじゃえ！

家に帰って、すぐにスマホのカメラを立ち上げた。

とにかく元気な感じで撮る。

『こんにちは！はじめまして！smile live候補生、今野るなです！

成績は普通、運動はちょっぴり苦手、元気な16歳JKです！

歌うのが好きで、よく一人で歌ってます！絵を描くことも好きです！

趣味はこんな感じかな！

嫌いな食べ物はありません！

沢山の人を笑顔にできるように頑張ります！採用お願いします♪』

テンポのいい曲に乗せて歌いきった。

そして軽く自分の仮立ち絵を書き、パソコンで動画を編集した。

なかなかいい感じだ。

後はこの動画を送って、結果を待つだけ！

そういえば、受験のとき、親から貰ったレピドライト．．．

確か石言葉は『変革・前進』。

受験のときもそうだったけど、なんだか応援されている気がする。

胸にさげたレピドライトを握りしめる。

「よろしくお願いします！！」

パチン！キーボードが鳴り響く。

今の私は、ワクワクだけを秘めている。