第29話 三つ目のドロップ品
俺は周りをサッと見渡し、誰も見ていないのを確認すると、そっとズボンを上げた。
「くっそぉぉぉ……」
一本じゃ足りないというのか?
まだ沢山のカリントウが残っている。
意を決し、俺は二本目のカリントウをボリボリと食べた。
「……旨い」
先程と同じく極上の一品であったが、少し空腹が収まっただけで、身体にさらなる異変は起こらなかった。もちろんアソコもっ。
まあ、そう都合よくデカくなる訳もないか……分かっていたさ!
「さて、問題は三つ目だ……」
俺から向かって、左にコーラ入りの瓶。真ん中にカリントウの山。そして右に黒く得体の知れないモノが並んでいる。
全部黒いドロップ品だ。恐らく黒いオークだからだと思うが。
俺は緊張しながらも、その得体の知れないモノを手に取った。
持ってみると意外と軽くて驚く。
「これ、カバン……だよな」
形的には、自転車通勤のビジネスマン向け背負いカバンを少し厚くした感じで、なかなかスタイリッシュともいえる。
素材の革が黒オークなのか分からないが、黒曜石の様に深みのあるブラックで、触り心地が良く、とても丈夫そうだ。
明らかに妖しいカバンではあるが、これはマジ有難い!
ダンジョンで手ぶらだと流石に不便だからな。
収納は大事!
「よしっ、試しにコーラでも入れてみるか」
俺はカバンのベルトを外し、表カバーをめくるとコーラ瓶の先を摘まんで、そっと入れてみた。
ん? コーラ瓶が底に着かない? 腕が肘まですっぽりと入っているのに?
カバンの深さと合ってないような……。
「はは……まさかな……」
緊張しながらも俺は、腕を肩までカバンの中に突っ込んでみた。
やはり何の抵抗も無く、背筋がぞわりとする。
「アイテム収納カバン……なのか?」
ここは異世界のダンジョン。その可能性も。
もうちょっと試してみるか。
俺は、瓦礫を手当たり次第に黒革のカバンに放り込み始めた。
「はぁはぁ……もう疲れた」
無駄な肉体労働をした気がする。
検証の結果、瓦礫を大量に入れてもまだ余裕がありそう、という事が分かった。
そして、カバンの口より大きい岩は入らないのも分かった。
最後にカバンを持ってみたが、何も入ってないかのように軽い。
俺は嬉しさのあまり疲れているのも忘れ、カバンを背負うと子供のようにピョンピョンと飛び跳ねてしまっていた。
「そうだ! わざわざ検証しなくても、ステータス確認すればいいんじゃね?」
もっと早く気づくべきだった。俺のバカバカ!
「ステータスオープン」
おっ! やっぱり装備の欄で、功罪の足枷の下に記載が増えてる。
【装備】
ダークバッグ:無限収納可能なバッグ(生物を除く)new!
どうやら俺はとんでもなく有用なモノを手に入れてしまったようだ。
「よっしゃぁぁ……ゲホッゲホッ」
興奮して叫ぼうとしたら、喉がカラカラなのに気づいた。
いったん落ち着こう。
俺はコーラの栓を
「ぷはぁぁぁっ! うんめぇぇぇっ! しびれるぅぅぅっ」
このコーラは強炭酸らしく、喉が強烈に痺れ、とっても刺激的!
ひと仕事終えた後のコーラは最高だ!
コーラ片手にカリントウを摘まむ手が止まらないぜ。
俺はコーラを最後の一滴まで飲み干すと、ようやく落ち着くことができた。
「げふっ」
腹をさすりながら満足感に浸っていると、身体に異変が起きた。
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