第9話 人発見


「メロンパンだ! いただきまっす!」


 ちょうど空腹で甘いものを欲していた俺は、我慢できずにそれを頬張った。


「うまっ! うまうまっ! なんと!? これは、とまらんっ」


 上のクッキー生地はサクサクでかぶりつくたびに、サクサクと音を立て、焼きたてのようなバターの香ばしさが鼻にふんわりと抜ける。

 なにより感動したのが、中に果汁たっぷりのさいの目切りメロンがゴロゴロと入っていたことだ。

 パン生地が甘過ぎずフワフワで、まさに三味一体といえる極上メロンパンだ。

 こんな旨いメロンパン食べたことないぞ!


 あっという間に完食すると、俺は名残惜しく指をペロペロと舐めたのち、手を合わせた。


「ごちそうさまでした。カメさんありがとう」


 その時だ――


「おいおいおい、こんな所に変な奴がいるぜぇ、おいザック、来てみろよぉ」

「パンサーのアニキ、どうしたんで? へぇ、こりゃまたおかしな格好の奴だぁ。アニキ、久しぶりのカモですねぇ……ひひひっ」


 目を凝らすと前方の暗がりから、何やら話しながら近づく人影が。


「おっ!? 第一村人発見! 助かったぁぁぁっ」


 まさか、こんな早く人に出会えるなんて超ラッキーだ!

 この人達に案内してもらえれば、ここ脱出できるじゃん。


 俺は嬉しくなって、にこやかに笑って近づく彼らに駆け寄って――


 パンチしてしまった……。

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