第3話
家の窓から見れば近くても、山まで一直線の最短ルートが伸びているわけではない。
アスファルトで舗装された田舎道は、畑や田んぼ、近隣の住宅などを迂回する格好になっていて……。
都会とは異なる独特の匂いが漂う中、うるさいほどの蝉の鳴き声に囲まれながら、真夏の太陽に照らされた道路を歩くこと三十分あまり。
右手に立ち並ぶ木々の間に、茶色の道が見えた。かろうじて
私は早速、その山道に入っていく。
野生の
左右の木々が夏の日差しを遮ってくれる分、先ほどまでと比べて、かなり涼しく感じられる。
ちょうど山道に入ったあたりで、蝉の鳴き声も聞こえなくなったので、それも気分的に夏っぽさを減らしたのかもしれない。
まるで世界が変わったかのような静寂だった。
とはいえ、さすがに山林の木々に防音効果はないはずだから、たまたま鳴き
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