第22話 ミシガンクルーズ!

 来た道を戻りながら大津港まで時間はかかる。途中の道の駅でまた弁当と飲み物、酔い止めを買う。


「この旅でどれだけの飲み物を摂取したことか」

「しょうがないわよ、この暑さですもの。それに水分は肌にも大事だしー」

「李仁と付き合ってから水分大量摂取させられでたけどさ、運動以外でもめっちゃ大事だなぁって思ったよ」

「だって私たちって他の人たちよりも人一倍運動してるじゃない……」

 李仁はジトッとした目で湊音を見た。

「ば、ばか……安全運転しろよ」

「はいはーい」



 そして乗船する大津港についた。駐車場も程よく近いところに置いて広がる琵琶湖、そこに浮かぶミシガンクルーズに大興奮する湊音。

 普段海のない街に住んでいるものだから広がる湖の景色が海のように感じる。


 乗船券を買い、搭乗。三階建てで一部はレストランのようになっている。レストランはは予約制であり外からしか見れなかったが外から見るとアンティークなインテリアで雰囲気も良かった。


「李仁は船上パーティとか行ったことある?」

「ん。まぁ昔若い頃にどっかの社長さんとクルーズパーティみたいな誘われたけどぉ」

「なんかそれ楽しそう」

「まぁたしかに普段とは違う雰囲気を味わえるけどね。今度こういうの乗るときは食事付きで予約して行きましょうね」

「世界一周クルーズとかしたい」

「それもいいわねー」


 まだ出航もしていないのに次の旅の話である。そんな夢が持てるのくらいワクワクさせられるようだ。


 船はゆっくり出航する。

 だんだん風が強くなり船の音も強くなる。大迫力のパドルの回転を見て、それから四階まだ登ってスカイデッキに登ると船から見る琵琶湖の壮大な景色を見て2人体を寄り添わせる。


「もっと旅ができるように僕も体調よくしないと。じゃないと豪華なクルーズ旅できないだろ?」

 そういう湊音に李仁は首を横に振って頭を撫でた。


「目標にしてもいいと思うけどさ、まだ今は慌てないで。少しずつ、少しずつよ」

「……そうだね、いつも焦ってダメになっちゃうからね」

「まぁその分ちょいと節約しなきゃだけどー」

「やっぱ……頑張らなきゃ」

「ごめん、ごめん……そんなつもりじゃなかったけどー」


 そうしてる間に船内での観光案内を告げるアナウンスが流れた。


 3階のクルーズデッキに戻り琵琶湖から見える滋賀の名所を案内する女性。全体的には標準語を喋っているのだが要所要所関西圏と思われる喋り方もあり、ここは関西だ……とふと2人は思ってしまう。


 その後、後列にあるミシガンバーにてかき氷と琵琶湖ソーダを注文し、席に戻るとステージショーが始まり男女のシンガーが現れてあっという間に場の空気が変わる。


 手拍子していたら李仁はカスタネット、湊音は卵形のマラカスを渡され少し恥ずかしながらも同様に楽器を渡された他の客たちと共に盛り上がり、楽しみショーが終割った頃にはあっという間に大津港に戻ってクルーズは終わった。


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