信じる
@afkghjhti
第1話 日常
「ピリリリリリッ」
アラームが元気よく音を鳴らす。一日の始まりの合図だ。サクッとお腹を満たして鏡に映る自分に向かい合う。お気に入りのDIORのリップをゆっくり唇の上にすべらせる。よしっ、準備完了。そう心のなかで唱えて、いつもどうり家を飛び出す。
「伊坂さんおはようございます!先日の案件どうなりました?」
「おはよう〜順調順調!どんどんさばいてくよ〜!」
「さすがです、もう一踏ん張り一緒にがんばりましょね!」
後輩のゆみちゃんに声をかけられた。最近見事に昇進を果たして一気に仕事量が増えた。正直体力的にはきついし自由時間なんて全然ない、けど仕事ができる自分が何よりの誇りなのだ。というか周りからの評価が嬉しくて、仕事にドハマリしている。
そんな中突然、上司から呼び出しがかかった。
「伊坂、実は...大規模プロジェクトを始動させようとしているんだけど、伊坂みほに任せてみようという声がたくさん上がっていてねえ、やってみないか。」
内心驚いた。でもやってやる。内側からフツフツとやる気が漲ってくる。私は喜んでそのプロジェクトを引き受けた。
ただ、それは地獄の始まりだった。大量のメールをさばき、企画書の作成で毎日残業、なのに上司からなかなかOKがでなくてやり直し。チームのみんなに指示出し、度重なるミーティング...最近楽しくないな。なんでだろう。でも、やんなきゃだめだ。逃げちゃだめだ。もっと私が頑張らなきゃ。だんだん仕事が楽しいものではなくて業務に変わっていた。最近ゆみちゃんに、顔色悪い?疲れてませんか?なんて心配されちゃったんだっけ。気付いたら自分が自分でなくなってきていた。私はすべてをボロボロにして働き続けた。
「ばたん」
「伊坂さん!?誰か誰かたすけて!救急車!」
誰かがそういった気がした。力が入らないもう無理だ。私はもうどうすることもできなかった。
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