第十話 い…いますわ…幽霊

時は夜の十時過ぎ。

もう探索の開始、校門をくぐった時点で分かってしまった。


「い…いますわ…幽霊」

南・三里亜「「…ほう!」」

「…明美さん…分かります?」

明美「はい…どうやら体育館の横…外部倉庫の中みたいですね」


だ…だから夜の学校探索など嫌だと!


私は不本意ながら目視が可能、明美さんは目視こそ出来ないが霊魂の気配を色濃く探ることが出来る。


…ちなみに同行しているものの、南先生・三里亜さんのお気楽コンビには霊感のレの字もない。文字通り「毛ぼど」「針のさきほど」も。


…し、しかもこの気配は…


「…し…色情霊ですわ…女子高の匂いに集まってきているのですわ…」

南「…ねえ、秀世さん、色情霊って何なの」


「…文字通り、取り憑いて性感を操る霊ですわ。ぜ…前回取り憑かれかけたときは…か…身体中が性感帯になって…あ…危うく処女を失うところでしたわ…」


南・三里亜「「…ほう!」」


南「三里亜さん、これは…」

三里亜「ベートーベンの絵画どころじゃないですね…」


「あ…あの?」


南・三里亜「「実験ね!!」」

「は…はい?」

南「さあ!みんな、行くわよ!」

三里亜「この際、誰に取り憑いても恨みっこなし!」


ガシッ!!


とばかりに私は両腕を拘束されて…ひ…引き摺られるように。


「待って待って!取り憑かれるのなんか…一番霊感の強い私に決まって!」

南「なるほど、それはますます好都合!」

「そ…それが仮にも教師の言うことですか!」


南「…バカね(笑)、科学の進歩には、とかく犠牲がつきものなのよ!」

三里亜「大丈夫!骨は拾ってお兄に届けてあげる!」


この瞬間、私は説明の仕方以前に、友達の選択を根本的に間違えていたことを悟った。


「あ…明美さん…助け…」

明美「お嬢様…大丈夫ですよ。何とかなりますよ」


うわ~明美さんまでまさかの裏切り!?


「な…な…何とかって…何とかってなんですの~!?」




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