親探しの吸血鬼娘 チノ(パズル編)

 臭いたどって歩いて行った路地花達。

 三人は、下水道の中にやって来た。

 チャパン……チャパン……チャパチャパン……チャパン……………トツ

「クンクンクン………………」

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」

「うん………………」

 そこは、蒸気機関車が百両入りそうなほど奥行きのある場所。

 それと、平たい柱が同じ方向に並んでいる。

 まるで、神殿の中にいるようだ。

「クンクンクン…………おお…………ここは、増水防止用の部屋ですね! 」

「増水防止用の部屋? チノ、ここ、下水道じゃないの? 」

「下水道も兼ねていますよ、路地花様。ここは、かつて雨の魔法少女アミを止めるために作られた場所です。大量の雨水を多く溜めるために。しかし、アミの魔法はそれ以上。五百人以上の人間や吸血鬼が溺れ死にました」

「うん………………」

「雨の魔法少女は、恐ろしいものなのね」

「まさに、厄災です」

「とにかく、クエストを攻略するわよ! 」

「うん! 」

「はい! 」

 チャパン……チャパン……チャパン……チャパン……チャパン………………

 トツトツトツトツトツトツトツトツ…………チャパン………………

 路地花達は、水が流れる通路と石で出来た通路を交互に渡りながら下水道の奥へ移動した。


 歩いてから、三十分後。

 路地花達は、不自然な柱を見つけた。

「ううん? こんな、部屋ありましたか? 」

「さあ………………」

「ここは、ダンジョンはチノの故郷だよね。詳しくないの? 」

「路地花様がおっしゃる通り、このダンジョンは我の故郷です。しかし、コの字が部屋は、下水道ではありません! 」

「『下水道では、あり得ない』って、どう言うこと? 」

「ここの下水道の柱は、水圧に耐えるために同じ方向に向いています。コの字型では、壊れてしまいます」

「チュチュウ! 」

「チュチュチュウ!」

「チュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ! 」

「ううん? 」

「ううん? 」

 三人後ろ向いた。

 何と、四角いトンネルから箱を持った五体のネズミ娘がやって来たのだ。

「冒険者様あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! あなた達の力は、素晴らしかったですうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ! 」

「そこの部屋に、瓶詰めになった僕らの友達がいるんだ! 」

「この魔法の箱で助けて! 」

「チュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ! 」 

「チュチュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ! 」

「それは、大変だぁっ! あたし、見てくる! 」

 タッタッタッ!

 路地花は、柱で出来た部屋を覗いた。

「チュチュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ! 」

「助けてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 」

 確かに、そこには大きな瓶に入ったネズミ娘が五体いる。

 しかも、二人書かれた魔方陣からは、水がピョロピョロと滴っていた。

「どうだった? 路地花? 」

「ネズミさんは、無事だよ。けれど、こんなに狭い部屋だと、あたしでは箱を運べない。アルゴ、箱を運ぶのはあなたの魔法に任せる。あたしは奥の壁に書かれたルールを確認する! 」

「うん! 頼んだわ! 」

 路地花は、部屋の奥へと入っていった。

 そして、パズル開始同時に瓶に流れる水の量が一気に増えた。

 ギュッ! ジュボォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン! 

「ヂュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……」


 シュレディンガーのネズミのルール


 これは、2×4の4×2の長方形の箱を使ってネズミ娘を助けるパズル。

 ネズミ娘がいる所は、『鼠』と書かれている。

 ネズミ娘を箱で囲むと、魔法の力で瓶が割れる。

 ネズミ娘は、一箱につき一体しか入れられない。

 箱は、一箱につき一回しか使用できない。

 『■』(黒い瓶)は、箱に入れてはいけない。

 箱は、隣接してもよいが、重ねてはいけない。

 五つの箱を全て使ってネズミ娘を助け出せ。


 表


 □ □ □ □ □ □ 鼠 □

 □ □ □ 鼠 ■ □ □ □

 □ ■ 鼠 □ □ □ □ □

 □ 鼠 □ □ □ □ □ □

 □ □ ■ □ □ □ 鼠 □

 □ □ □ □ □ ■ □ □

 □ □ □ □ □ □ □ □

 □ □ □ □ □ □ □ □


「アルゴ! 箱の奥行きを教えるから、それに合わせて箱を飛ばして! 」

「解った! レベル8テクニカルベクトル! 」

 シュポォォォォォン! シュポシュポシュポォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!

 シュポォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!! 」

 魔法の箱は、ふわふわと宙に浮いた。

 そして、その箱は、路地花の方へ向く。

「うん! 最初は奥行きが2マスの所だよ! 」

 路地花は、瓶詰めされたネズミ娘の前に来て腕で2マスを計った。

「アルゴ、お願い! 」

「おりゃぁ! 」

 シュゥゥゥゥゥゥーーーードーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

「よっと。今度は、こっち! 」

「おりゃぁ! 」

 シュゥゥゥゥゥゥーーーードーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

「次は、4マス! 」

 路地花は、またネズミ娘の前に来た。

 今度は、全身で4マスを計った。

「アルゴ、お願い! 」

「おりゃぁ! 」

 シュゥゥゥゥゥーーーードーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

「よっと、次はこっち! 」

「おりゃぁ! 」

 シュゥゥゥゥゥーーーードーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

「よっと。最後に、こっち! 」

「おりゃぁ! 」

 シュゥゥゥゥゥーーーードーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

 路地花とアルゴは、パズルのルール通り、全てネズミ娘を箱に入れた。

 ゴロゴロゴロゴロ…………バリーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

 バリバリバリバリーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

「ヂュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ! 」

 路地花達は、ネズミ娘の救出に見事成功。

「アハハハハ! ヤッタヤッターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー! 」

 しかし、パズルを解いたことで例の魔法がガラスの棺から現れたのだ。

 ガタンッ!

 

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