病み母の熊娘 サイクマ(グルメ編)
旧神魅羅県庁攻略から十日後の夜。
月夜に照らされる魔法少女の家。
アルゴは、神魅羅県知事からもらった魔法で吸血鶏の砂肝を召喚。
それを使って、砂肝の唐揚げの定食を作った。
フワフワフワフワフワフワフワフワフワフワフワフワフワフワフワ…………ドドンッ!
「みんな、夕食出来たよ! 」
「わーい! 」
「わーいわーい! 」
「ニャン! 」
「ワォワオンッ!!!!! 」
「モオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!! 」
「ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィンッ! 」
「ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!! 」
「ヴエンッ! 」
路地花達が、リビングに一斉にやって来た。
そして木のテーブルの周りに座って手を合わせる。
「いただきます!! 」
「いただきます!!!!!!!!!!!!!!!!!! 」
挨拶を終えると路地花は、砂肝の唐揚げを箸で摘まんでがっつく。
「ウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグ…………ゴクン…………おお、噛めば噛むほど肉の旨味が強い。ううん? 」
路地花は、唐揚げの皿の手前にある小鉢に気づいた。
どうやら、小鉢に入った生卵があるのは、何か目的があるのだろう。
ドゥキンッ!
路地花は、箸を置いて周りの様子を見る。
右左右左右左右左真ん中。
路地花が目に止まったのは、サイクマと三人娘。
サイクマは、モミルマとモミゾウとモミミミ唐揚げを食べさせている様子。
「あーーーーん………むぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐ…………ゴクンッ………………ちょっと、この唐揚げ、しょっぱいなぁ」
「僕も! 」
「僕も僕も!」
「じゃあ、生卵をつけた唐揚げ、どうかなぁ? あーーーーん! 」
「あーーーーん…………むぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐ…………甘ゴクンッ………………ーい。これなら、僕でも食べられる! 」
「僕も食べさせて! 」
「僕も僕も! 」
「そうかそうか! 」
「ふーーーーーん! 」
路地花は、生卵を出す理由が解った。
どうやら、唐揚げの味変らしい。
路地花は、生卵を箸でかき混ぜて唐揚げを絡めた。
「ウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグウグ…………ゴクンッ…………すっごい食べやすくなったよ! 」
砂肝の新しい食べ方に喜んだ路地花。
彼女は、寝る時間が狭っ来ることを気にせずにゆっくりと夕食を楽しんだ。
一方、プーカ娘のアツは、急いでいるような様子でご飯をかき込んでいる。
「グッグッグッグッグッグッグッグッグッグッグッグッグッグッグッグッグッグッグッ……」
ドーーーーーンッ!
「ごちそうさま! サイクマ、今から話しがある。早く玄関を出て! 」
「玄関? うん、解った! モミルマ、モミゾウ、モミミミ、一人で食べられる? 」
「うん! 頑張って食べる! 」
「お母さん、行ってきて! 」
「行ってきて、行ってきて! 」
トントントントントントントントントントントントントントントントントントン…………
トントントントントントントントントントントントントントントントントン…………
サイクマとアツは、目的の場所にやって来た。
険しい表情を浮かべるアツ。
そんな状況の中、サイクマは勝手に話を始める。
「玄関前に来たよ。暑さを忘れるような涼しさだね! 」
「話を脱線させないでよ! あたしは、ダンジョンであんたの様子を見たの? 」
「様子? そのこと、出来るはずないよ! 旧神魅羅県庁は、冒険者しか入れないんだから! 」
「入れなくても窓から覗けるでしょ! 」
「窓から覗く? まさか! 」
「レベル10黒馬の化け術。あたしは、この魔法で蜘蛛に変身したの」
「まさか、そこまでやるとはなぁ」
「けれど、あたしが言いたいのはこれだけでわないの。サイクマ。あんたは、ギリギリまで、チェーソーを路地花に近づけていたよね」
「そうだよ! それが? 」
「元から、人間を殺す気だったでしょ! 」
「まぁ、そのつもりだよ。けれど、チェーソーで殺すかどうかは解らないけれどね! さぁ、話は終わった。アツも早く寝ないと、病むよ! 」
トントントントントントントントントントントントントントントントントントントン……
「帰っちゃった。たく…………あたしは、サイクマじゃないだから! 」
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