病み母の熊娘 サイクマ(クエスト編)

 八月一日の朝。

 邪神じゃしんくに神魅羅かみらけん神魅羅かみら県庁けんちょう三階さんかい

 吸血鬼の県知事がいる部屋に、路地花とアルゴとサイクマは依頼所を持ってきた。

 依頼書には、『旧神魅羅県庁 吸血の女神退治 66000G メンバー記名 ターエ•アルゴ ダウナーモフ•サイクマ』。

 普通は、ギルドで依頼書もらってからクエストに挑む。

 しかし、今回のクエストは県知事のサインをもらって挑むのだ。

「この町は、100年間選挙が行われていない。わたしを永遠の県知事にした吸血の女神を退治してくれ。そして、選挙を行えるようにしてくれ」

「任せて! 」

「うん! 」

「その前に、朝食を食べに行こう! 」

「うん!! 」

 タッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッ……


 神魅羅かみら県庁けんちょう一階いっかいレストラン。

 路地花達三人は、窓際のカウンター席でモーニングを食べることにした。

 モーニングのメニューは、トマトジュースとトマトトースト、血吸鶏の砂肝吸い。

 特に、血吸鶏の砂肝吸いは神魅羅県の有名な肉のお吸い物である。

「むぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐ……」

「むぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐ……」

「むぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐ……ゴクンッ…………」

「はぐぅはぐはぐはぐぅはぐはぐはぐぅはぐはぐはぐぅはぐはぐはぐぅはぐはぐぅ……」

「はぐぅはぐはぐはぐぅはぐはぐ……」

「はぐぅ……ゴクンッ……」

「おお、トマトトースト手でか食べられるカプレーゼみたいね。トマトオリーブオイルの酸味仲良く混ざってる」

「砂肝吸いもいいね。人肉より美味しいよ! 」

 カチャンッ…………

「ううん? 」

「どうしたの? 路地花? 」

 『人肉』と言う言葉に反応した路地花は、スプーンをお盆置いた。

 どうやら、前にいた吉祥寺と間違う邪神の国の常識と言うのを恐れているのだろう。

「あたし、生きて吉祥寺に帰れるかなぁ。みんな、あたしを美味しい餌だと思っているでしょ! 」

「うーん……」

「まぁ、あんたを食べる気は無いよ。人間路地花は、助けるべきものだからね」

「ふうぅぅぅぅぅぅ……よかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

「だといいね! 」

「サイクマ、一言多い! 」

「ごめん、ごめん! 」

 とにかく、サイクマお答えを聞いて安心した路地花。

 彼女の右手は、スプーンの方へと伸びていく。

 

 朝食を食べ始めて十五分後。

「ごちそうさま!! 」

「ごちそうさま! 」

 路地花達は、レストランのモーニングを完食。

 会計で1500Gを払って店を出た。

 

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